第2話 とり憑かれやすい人

幽霊を信じますか?

よく取り憑かれやすい人とそうでない人がいると聞きますが、やっぱりそうゆう人っているのかもと思ったお話。


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季節は夏。

当時21歳の僕はバイトをしながら専門学校に通っていました。

バイトは実家から自転車で20分くらいのところにある回転寿司屋。

気がつけば2年も働いており、運もよく同じ年齢の友達がかなり出来てよく遊んだり飲みに行ったりと。


特に仲の良い同級生1人と、1歳下の後輩と”心霊同好会”なるものを立ち上げバイト終わりに飲み物や食べ物を買ってそのまま友達の家に行き怖い動画を見る。

そんな楽しい日々を過ごしていました。


と。

その後輩から。


「先輩、実はバイクで30分くらい走ったところに閉園になった幼稚園があるんですよ!」

「…こんな時間ですけど肝試し行きません?」


「おっそんなところあるんだ!」

「こんな時間だけど行ってみようぜ!」

時間を見ると深夜2時過ぎ。


ですが、完全にその場のノリで急遽行くことに。


ブンブン、ブ〜ン


2台のバイクで僕は後輩の後ろに乗り走る。

夏ということもあり、バイクでうける風がすごい気持ちよくて。


と、あっという間に到着。



そこは、山中の中腹に佇む入り口。

入り口は鉄格子で封鎖されています。


「ここ…昭和後期に閉園となった木造の幼稚園らしいんです。」

と後輩が一言。

「それがそのまま残っているってことで、心霊スポットでも有名なんです」


「めっちゃ怖いじゃん!」


「やばくね〜!」


少し肌寒くなりつつも、好奇心が打ち勝ち

「…じゃあ、行くか!」

と封鎖された鉄格子をよじ登る進入する3人。


どさっ


「ふぃ〜はいれたー」

着地し体を立ち上げると目の前には左右が大木が連なっている真っ暗闇の一本道。


「…幼稚園見えないな」


「これ本当にあるんか?」


と思いながらも後輩が。


「ありますって!行きましょ!!」

と、テンションが高い後輩。


「うっし、行くか」

3人は自分のスマホのライトをつけ歩みはじめる。



暗闇の中、時間として3分くらいだろうか。

体感は10分くらいかかった道から拓けた場所に。


「あっ先輩!ありましたよ!」

あたりは木々ばかりで月の光もあまりないが、そっと佇む平屋作りの木造幼稚園。




「。。。こっわ」

「ガチやんこれ」


と、少しビビりながらも好奇心でゆっくりと幼稚園の中へ。



ぎしぎし…ぎしぃ


中にはいると木が腐敗し天井からは空が見えたり、床は穴があいている。


ぎぃし、、、ぎし

歩むたびに嫌な音があたりを包む。


「こ、これ床ぬけるから気をつけんと」


「…で、ですね」


正直、もう3人はかなりビビっている。

佇まいや床の音による影響もあるが、なにより…



小さな椅子やロッカーなど所々そのままおいてあるのです。

黒板を見れば、[昭和〇〇年〇月〇日]と残っていたり。

ロッカーの中には小さな上履きうわばきがあったりと。


「…」

「…」

「…」


「…そろそろ出ようか」


まだまだ奥は続いているが、3人とももう限界。


「で、でましょうね」


来る時の意気込みはどこえやら。

そこからはそそくさに帰る始末。

来る時に体感10分かかった道は1分くらいで降りられた感覚。



そんなこんなもあり無事に家路につく。

「…やっぱりそうゆうところ行くのはあかんな」

自分の部屋で口に出す僕。



と、それからは特になにも起きなく3日ほど過ぎた時



家でまったりしていると、仕事から帰ってきた親父が、

「お前さ、最近廃墟とか行った?」

といきなり。


この前の幼稚園はそれにあたるが、親父はもちろん母親にもそんなところに行ったなんて話しはしない。

するわけがない。


なのになんで。。?

「…えっ、、、どうして?」


「いや、行っていないならいいんだ」


「…2~3日前に行ったよ」


「えっ・・・・」

「まじかよ・・・」

と、びっくりしている親父。


「ん?どうしたの?てか、なんで行ったこと知ってるの??」

と返すと。


「…」

「実は今日仕事が終わって、会社のオフィスで同僚と話をしてたんだ」

「で、たまたまその同僚のお姉さんが顔を出しに会社に来たんだけど」


~~~~~~~~


「あの…」

「ちょっといいですか?」


「えっ?俺ですか?」


「はい。」

「…言いづらいんですが、息子さんって最近廃墟とかって行きました?」


「ん〜いやー、分からないですね。」

「どうしてですか?」

意味が分からない親父は、不思議な顔をして聞き返すと。


「多分、息子さん最近廃墟に行かれたと思うんです」

「で、その時に…」

「小さな女の子を連れてきてしまったようでして」


「…へっ?」


「でね…」

「その小さな子、あなたにとり憑いているんです」


「えっ!!!!?」


「だからお声かけしたんです」

「…あなたの後ろを小さな女の子が付いて歩いているのが見えたので」

「あっ、でも悪い感じはしないので、祓っておきますね」


「あっ、はい」


~~~~~~~~



「そんなことがさっきあったから聞いたんだけど・・・」

「お前マジで行ったの?」


「うん、行った」

「あ〜ごめん!笑」


僕には影響がなかったこともあり、その時の親父のリアクションに少し笑ってしまったが。

その時の青ざめる父の顔は今も覚えている。


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