夢と現の間で -人は電子の虚飾に夢を観る-

河野守

専門用語

あ行

●AR(拡張現実感)

 現実の世界にアニメーションを合成する技術。本作品ではAR技術が大きく発展しており、会社の業務、役所の手続き、学校の授業などにもARを用いている。


●ARゴーグル

 本作品に登場するAR技術を体験するためのゴーグル。本作品内では、日本のソムニウム社製が九割のシェアを誇っている。


●アリドル

 AR + アイドル(Idle)の造語であり、AR技術を用いたパフォーマンスを行う人々の俗称。アリドル登場時はARを使ったライブを行うアイドルのみを指していたが、現在は定義が広くなっている。

 アリドルは個人でも活動できるが、基本的には芸能事務所に所属して活動している。


・アリドルのパフォーマンス

 アリドルが行うパフォーマンスは、ファッションショーや演劇、ゲーム実況、はては釣りなど様々なものがあるが、最も多いのが歌とダンスである。ARを用いた現実離れした華やかで奇抜な舞台や演出が人気であり、アリドルもこのパフォーマンスを選ぶ傾向がある。

 パフォーマンスの配信方法はロケーションタイプと、フリータイプの二種類がある。ロケーションタイプは特定の場所でのみ配信される。観客はその場に足を運ぶ必要があるが、音響や広い会場などの迫力あるパフォーマンスを見られる。一方のフリータイプは場所問わずパフォーマンスを鑑賞することができる。自室にアリドルの姿をARで投影し、すぐ近くにいると錯覚することもできる。

 

・収益方法

 アリドルの収益方法は様々であり、ライブのチケット代や投げ銭、グッズ販売が最も多い。


・アリドルの歴史

 アリドルが登場したのは作品内において五年ほど前。北海道の地方自治体が町興しのために、企業にアイディア募集をしたことがきっかけ。当時ベンチャーのソムニウム社がARによるご当地アイドルのライブを提案し、それが採用される。最初は人気がなかったものの、口コミで次第に話題になっていった。他の自治体も真似をするようになり、日本各地でアリドルが生まれるように。

 アリドル登場当初は色物だと芸能界からは見られていたが、ARによるパフォーマンスが世間で人気になっていくと、慌ててARを取り入れるようになる。大手事務所は自社所属の人気アイドルや俳優にARを合わせたが、良くも悪くもすでにキャラが確立された人気芸能人にARを用いたことで、キャラが崩壊していると不評を買ってしまう。AR技術の取り込みに乗り遅れた芸能事務所も多く、当時有名だった大手芸能事務所の大半が凋落してしまった。


・野良アリドル

 アリドル登場時は特に規制がなく、ソムニウム社のARキットを使用すれば、誰でもどこでもARによるパフォーマンスを配信できた。当時は過熱なアリドルブームに乗せられ、多くの人が公共の場で野良アリドルとして活動していた。現在は公共の場を利用する際は自治体に申請を行う必要があり、またアリドルの芸能事務所も確立されたことで野良アリドルはほとんど見かけない。

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