第71話 妊娠


「え~と、本当に何もしないで良いの?」


「男は何もしないで大丈夫!気にしないでバンバン楽しんで欲しい!」


「だけど…」


「そうよ!気にしなくて良いわ!前にも行ったけど、SEXは美徳、そして子作りはこの世界の重要事項だわ!1年半会えないのは悲しいけど…帰ってきたら、また宜しくね!」


「理人お兄ちゃんと1年半会えないのは悲しいけど、王宮で贅沢させてくれるし、ミム行ってくるね」


「理人さん、こちらは気にしないで大丈夫ですよ! 理人さんの子を妊娠したのですから、最高の条件で過ごしますから、ねぇお母様!」


「理人さん、お城で最高の条件で子育てしますからこちらは気にしないで大丈夫ですよ?」


「凄く違和感があるけど、ルールはルールだから仕方ありません…それじゃ理人1年半後ね…」


まぁ、当たり前と言えば当たり前なんだが、カセリアもシャルナ、ミム、マリン、マリアーヌ…そして麗華。


人間側も全員妊娠した。


避妊も一切せず、いや寧ろ出来るだけ妊娠するようにしていたんだから当たり前と言えば当たり前だ。


それで、此処から1年半のお別れ。


聞いた話ではこの世界の男は子作りに参加しないそうだ。


それを別に考えても、自然妊娠の子供が珍しいのと、俺の子という事で万全の態勢で出産をさせる…と考え、王宮で沢山のヒーラーに囲まれながらの出産になるそうだ。


この世界の男は一切の扶養義務が無く、子供への愛情が気薄なのでこの世界の通例だとこのまま、子供に会わないで一生を終える。


ただ、俺はこの世界の男では無いので、そのうち会いに行こうと思っていたのだが…


「え~と、子供を産んで半年ちょっとしたら…戻ってくるって子供は一緒じゃ無いの?」


「まぁそう言う事よ!」


なんでも、今回の子育てには皆が参加するのではなく、生まれた子供は国が引き取り育てるそうだ。


「だけど、それならなんで1年半な訳?」


確か子供が産まれるまで10月10日…そこから8か月、せめて親子で暮すと思っていたんだが、違ったようだ。


8か月間は崩れた体型を戻す為に掛かる時間で、エステ等で綺麗に体を戻してから帰ってくるそうだ。


俺はそう言うのを気にしないのだが、この世界の女性の中では『妊娠して体型が崩れていく姿は醜い』というのが根底にあり『絶対にその姿を男に見せない』そういう暗黙のルールがある。頼んでも一緒に居るのは断られた。


「崩れた醜い体を見せる訳にいかないからな」


「流石の理人お兄ちゃんでも気持ち悪くなるから…」


「見せるなんて無理よ!」


「流石に見せる勇気はないですよ」


「そうね、私も無いわ」


こうして人間側の女性は一旦、去っていき、彼女達が居ない間『人族の女性に限り』好きな女性を自由に抱いて良い。


そんな許可を貰った。


◆◆◆


今、此処に居るのは俺とサキュバのみだ。


キリネは同じく妊娠してチェンジ状態。


サキュバスだから出産は簡単に終わるらしいが…他のサキュバスに恨まれるから、次のサキュバスと交代するそうだ…

「えぐっひぐっ…私の事忘れないで下さいね…」


泣きながら去って行くキリネが凄く可愛そうに思えたが…


「忘れないよ!いつでも遊びに来てね」


「はい」


とは言っても、他のサキュバスが次に此処に来るのを狙っているからきっとこれが実質最後になるのかも知れない。


涙ながら去って行くキリネが見えなくなるとサキュバは分厚いバインダーを渡してきた。


「これは?」


「我が国の候補者だよ! 好きな子を指名して欲しい」



「解ったけど、少し時間が欲しい」


「ゆっくりで構わないよ! それより…その今日は思いっきり頑張ろうね」


そういうサキュバは俺の子を産んで国に預けてきたそうだ。


凄いな、サキュバって出産しても何も変わらないなんて…





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