第57話 【閑話】男の悲鳴がこだまする。


「ふざけるな! 僕はCランクだぞ!」


「だから、どうされたのですか?」


「貴重な男の中でも、高ランクな僕が何故、男性保護施設を追い出されなければならないんだ!」


「この度、話し合いの結果、男性保護施設を利用できる者はB級以上の者に限られる事になりましたのでね、出ていって貰うだけの事です!」


「何故だ! 何故そんな事に…」


「さぁ? 末端の私にはよく解りませんね! それより口の利き方に注意しなさい」


「貴様…えっ」


馬鹿な奴だ…私は容赦なく、この男の顔面を叩いた。


「口の利き方に気をつけなさい! お前達、C級D級の男に与えられる権利は『市民権』です! ただの市民が騎士爵の地位を持つ貴族にその態度…口を慎みなさい」


「煩い、僕は男だ!」


「煩い! もうお前達C級、D級には男性特権はない! あくまで歯向かうなら殺すぞ!」


「ああっ、許して下さい!」


もう特権はない。


私は理不尽な事は嫌いだ。


今迄、市民に理不尽な事をした事はない。


だが、男は女に対して理不尽な事ばかりしていた。


数が少ないのを良い事に、貴族階級にすら盾突く者も多く居た。


なにかしてやるのは構わない。


だが、感謝一つしないで不平不満ばかり言う男を私は嫌いだ。


「まぁ、良い、許してやろう! ところで皆の中でこの男を抱きたいと思う奴いるか? 今なら銀貨1枚で抱けるよ」


「それは嫌です…許して下さい」


「別に相手したく無ければしないで良いんだ? だが、それでお前どうやって生きていくんだ?無一文で此処を出た後どうする? 今迄、仕事をした事が無いお前に出来る仕事はあるのか? 無いよな?」


「…はい」


「だろう?だったら男の体を使って商売する男娼しかないじゃん?今此処で犯らないでどうするんだ? 宿屋も借りれないだろうが! 文句があるなら買わなくても良いんだよ! 服だけはくれてやるから、とっととその身一つで出ていくが良い!」


「…買って下さい…」


「ハァ~聞こえないな~」


「僕を買って下さい!」


「ははははっ可笑しいの、C級の男の子が買って欲しいんだってさぁ!皆どうする?C級なら勃起するから挿入可能だよ!」


「「「「「「「「「「「「「「「買います」」」」」」」」」」」」」」」


「良かったな少年、うちの小隊15人皆が買ってくれるってよ!それじゃ私も含んで16名で相手してあげるわ」


「そ…そんな16名なんて…あの何処でするのですか…」


「此処でするに決まってるじゃん?」


「隊長、私1番目いいすか?」


「早い物勝ちで良い、私は最後で良いから、そら勃起するC級だ!商談成立したんだから、犯し放題だ…いけーーーっ」


「嫌だ、止めて…こんな外で、せめて部屋で…嘘嫌だ、いやぁぁぁぁぁぁーー」


「うるさいな男娼の癖に静かにしていろ…そらよ!」


ビリビリビリッ


もう皆、火がついちゃったな。


服からズボン下着まで引き千切っているわね。


「ほらよ、舐めな」


「嫌だ、汚いうぷっ」


「それじゃ、私はこれを頂こうかしら? あむっ」


「嫌だいやぁぁぁぁぁぁーー助けて、誰かいやぁぁぁぁぁーーーーっ嫌だ、嫌だーーー」


これは彼にだけ起きた事じゃ無い。


その日、あちこちから男の悲鳴が飛び交っていた。

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