第28話 【閑話】奇跡は一度だから奇跡 シャルナSIDE


ハァ~夢の様な1日だったわね。


まさか、あんな凄い事が起きるなんて信じられないわ。


いきなり美少年が抱き着いてきて私の胸を揉むなんて、誰に言っても信じてくれないでしょうね。


私にとってお金なんて価値は無いわ。


バルバトール公爵の私にとって幾らでもあるからね。


夢なのかな…そう思う事もあるけど『優良女性の認定書』これを見る度に思わず顔がニマニマしてしまう。


凄いもんね…あの男性と過ごした一日…


どんな素晴らしい過去すら大した物に感じなくなっちゃったわ。


ハァ~ あの少年カッコ良かったわ。


多分、あの少年がきっと姫様が追放した『理人』よね。


凄く、性格が良くて、あっちは完璧。


いえ、完璧処じゃないわ。


あんな、貪るようなSEXする男なんて絶対に他には居ないわね。


姫様も馬鹿ね!


あんな最高の男を追い出すなんて…私なら2週間毎日愛し合うわよ。


あんな素晴らしい経験はきっともう2度と無いわね。


いつかまた会う事があっても、きっとあんな風に私を求めてくれないわ。


恐らく、その時は『金目当てのくだらない男』になっているわ。


だけどね、それでもあの美少年を『自分の手元』に置きたいそう思うの。


『女を嫌うあの少年を見たくない』『それでも傍に置いて置きたい』両方がせめぎあうのだけどね!


はぁ~、もう手に入らないのは解っているわ。


だけど、私はどうしてもあの少年が欲しくなる。


「あ~っ!本当に私らしくないわ」


「あの、シャルナ様、先日の盗賊の件ですが…」


「全員、皆殺しで良いのよ! 態々聞かないで! 恨みを持たれると困るから一族郎党、3歳以下の子供を除いて皆殺しにしなさい! 子供は親との思い出が残らないように児童施設行き…良いわね」


「はい、ですがそんな厳しい事ばかり言っているとまた…」


「良いのよ! どうせ冷酷女とか血も涙も無いって言われるのでしょう?だけど未来に遺恨を残す位なら…此処で手を汚す位どうでも良いわ」


「畏まりました」


「それじゃお願いするわね」


仕方ないじゃない。


誰かが汚れ役をしないといけないんだから!


あの能天気な王女には出来ない以上臣下の者がする必要があるのよ。


ハァ~楽しかったわ。


この嫌われ者のシャルナに抱き着いて来るなんてね。


「うふふっ」


正に奇跡だわ。


あんまり贅沢言っちゃ駄目よね…


本来なら絶対起きないような奇跡。


美少年が私を求めてきたんだから…これ以上を望むのは贅沢だわ。


だけどね…


だけど…もう一度奇跡が起きたらどうなるのかしら…


たった一度で、根こそぎ私の心を掴んで離さない理人という美少年。


もう一度、同じような事が起きたら…きっと、この私も、変われるのかも知れないわ。


さて…奇跡は一度だから奇跡、もう二度とは無い筈だわ。


それでも『もしかしたら』そう思ってしまうのは…私の弱さなのかも知れないわね。



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