第68話

 ぐう・・・・これはきついや・・・・


 何とかもう1人も回復させているけれど、どういう訳か骨が見えていた所も再生している様子。


 僕の回復魔法はこんなに凄くないはずなのに何故?

 そう思っていると、どうやらこの患者さん?も回復魔法が使えるらしく、僕が使ってるうちに目が覚めたみたいで、必死になって魔法を使っている。


 その甲斐があったのか奇跡が起こったのか、スライムに溶かされていた所は殆ど回復できたんだ。

 よく分からないけれど、普通は回復魔法の2人り掛けってしないよね?

 多人数で唱えればこういった効果があるのかな?よく分からないけれど。


 そして僕は残った魔力で自分の腕を回復させる。

 ふう、痛みが無くなる・・・・

 そう思ったまではよかったはずなんだ・・・・あ、駄目・・・・またしても目の前が真っ暗になっちゃって、頭に何かがぶつかった感覚があるんだけど・・・・・


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 気が付けば僕はベッドの上で寝ていました。

 あれ?どうして僕は寝ているんだろう?というかここは何処?

 そう思って周りを見渡すと見知らぬ女性が2人、傍の椅子に腰かけているのが見えました。

 あ、目が合う。

 あれ?どこかで見た事ある?


「ちょっとターラ、この人起きたわよ?」

「何言ってるのミリアム、貴女が声をかけなさい。命の恩人なのよ?」

「えーだって恥ずかしいし・・・・」

「何を言っているのよ。貴女とグラントリーのせいでこの人魔力が枯渇しちゃったのよ。しかもスライムを倒すのに、自ら腕を怪我しながら戦ってくれたって言うのに、何その態度は!」

「で、でも・・・・」

 僕はそんな会話を尻目に起き上がります。

「あら、起きて大丈夫かしら?私達のパーティーを助けて下さりありがとうございます。私はターラ。そしてこっちのはミリアム。」

「こ・・・・こんにちは・・・・その・・・・助けてくれてありがとう!」

「えっと・・・・どういたしまして?もう怪我は大丈夫なのかな?その、僕恥ずかしながら気を失っちゃったみたいで。」

「何を言っているんですか,貴方は命の恩人です!自分の魔力が枯渇するまで、貴重な回復魔法を使って下さるなんて。」

「そ・・・・そんなに貴重なんですか?回復魔法って。」

「何を言っているんですか!普通パーティーに回復要員なんていないんですよ?私は魔法使いですが、魔法を使える人も50人に1人程。そして、回復魔法の使い手は更に貴重で100人に1人。たまたま私達は幼馴染だからパーティーを組んでいるけれど普通はあり得ないのよ、魔法使いと回復魔法の使い手が同じパーティーに存在するのって。」


 え?そうなんだ・・・・知らなかった・・・・


「そ・・・・そうなんだ?あ、もうひとりの・・・・グラントリーさんだっけ?はどうなったの?」

「あ、それも含めてありがとう。傷は奇跡的に治ったわ。ただ、血を失いすぎていて暫くは起き上がれないんだけれどね。」


 この女性、ターナさんだっけ?いや、ターラさんだ。間違えてしまう所だった、危ない危ない。

 うん、喋りやすい。

 魔法使いって言っていたから、きっと頭も賢いんだろう。



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