第39話 朝顔の観察日記
今日は
僕は机の上にのって見物する事にした。
何度もつぼみの状態の同じ絵を描いている。
「
「いま忙しいから静かにしてて」
そんなに夢中になるなんて珍しいな。
邪魔しちゃいけないよね。
僕が黙って見ていると、
7月21日 つぼみのままだった。
7月22日 今日もつぼみだった。
7月23日 やっぱりつぼみだった。
えっ、これって……観察日記?!
どうやら
「
「そうだよ。良く分かったねテプちゃん」
「観察日記って毎日書かないの?」
「毎日書かないよ。だって変化が無くてつまらないんだもん」
「でも毎日書かないと溜まっちゃうよ。後でまとめて書く方が面倒でしょ?」
「そんな事ないよ。ほらっ、絵の方は連続して描いた方が上達が早いでしょ?」
確かに徐々に絵はうまくなっているけどさ……
文章の方は後半になる程、書き方が雑になっているよ。
これは僕の出番かな。
これも魔法少女のサポートをする妖精の役目だよね。
「
「うん、お花は好きだから咲いたら楽しいと思う」
「それなら僕に名案があるよ! お出かけしよう!」
僕は
「あら~、どうしたのテプちゃん、
「しず子さんの
「どうしたの? 誰か怪我をしたのかな?」
「いえ、誰もケガしていないです。
「なんだって? 俺様のしず子の魔法を朝顔の水やりなんかに使うなよ!」
「オハコ、別にいいじゃない。私の
しず子さんが
「しず子お姉ちゃん、ありがとうございます! テプちゃん、さっそく朝顔にお水をあげよう!」
「しず子さん、ありがとうございました!」
「またね~。朝顔さん元気になったら私にも教えてね?」
僕と
そして早速朝顔に
僕の想像通りだ!
しず子さんの
高速再生した動画みたいに花が咲いたのはビックリしたけどね。
「凄いよテプちゃん! 花が咲いた!」
「そうだね。花が咲いて良かったよ。これで楽しく観察出来るでしょ?」
「うん、毎日観察して書くよ!」
これで安心だな。
僕は安心して押し入れのお部屋で休むことにしたーー
翌日。
目が覚めて押し入れから出ると、机の前で立ち尽くす
一体何が?!
僕は慌てて机の上に飛び乗り、
あ、朝顔の花が散っている!!
昨日咲いていた綺麗な花は全てしぼんでおり、多くの花びらが落ちていた。
どどどどどうしよう?!
そうだ!
僕達には
「
「分かったよテプちゃん」
「やったね
「そうだね。また観察日記を書くよ!」
よし、これで一安心……と思っていたのは間違いでした。
翌日、やっぱり朝顔の花はしぼんでいた。
再び
いったい、いつまで繰り返せば良いのだろう……
終わりがない水やりに疲れ始めた。
そう言えば、観察日記はどうなったのだろう?
僕は気になって、机の上の観察日記を前足でペラペラめくった。
花が咲いた……しぼんだ……花が咲いた……しぼんだ……
ひたすら綺麗な花の絵としぼんだ絵が交互に描かれている。
これは何の観察日記なのだろう……
事情を知らない先生が見たら嘘の観察日記に見えるだろうな……
普通はしぼんだ花が復活する事はないからね。
ごめん!
全部僕が悪かったから、今から普通の観察日記を書こう!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます