11 クッキングぅ〜

あれからみのみの狂信者たちのコメント欄を眺めながら自己肯定感を爆上げしたみのりは草原を全力疾走していた。

何かに追われているわけではない。

追っているのだ。


「逃げるなぁ〜逃げるなぁ責任から逃げるなぁああ

私の血肉となれぃぃいいいい」


美少女には似合わない台詞を吐きながら追いかける先には白いウサギが命を刈り取られんと全力で逃げていた。


「まぁあああて〜〜ジューシィーラビット〜!!!!」


白い兎の名前はジューシィラビット。

ダンジョンに現れる獣の中にはもちろん食べられるものもいる。

その中で美味しさでランクづけするならば、

名前の通りジューシィラビットは1番上に位置する。


初めてジューシィラビットを火の魔法で攻撃した探索者は食の神様として現代まで祭り上げられている。


火で炙ったあの香り、あの食感、そして肉のなんとジューシィな事か。


連戦に連戦を重なっているみのりはお腹が空いていた。もちろんバックの中にまだ食料はある。

ただ目の前にご馳走がいるのだ。

逃す探索者はいるだろうか。もちろん否である。


「【加速】」

速度バフをかけて獲物に接近そして

「からの〜【風斬】」


無慈悲な風の斬撃が白兎の命を刈り取った。


「ふふふ。さっ!みのみのクッキングはっじまるよぉ〜!」


〈俺も美少女に追いかけられたい〉

〈分かる。食われたい〉

〈みのみのみのみのみの〉

〈血肉になれとか叫びながら追いかけてくる美少女怖すぎだろww〉

〈それはそれでありみのみのみ〉

〈美少女の血肉になれるんだぞ!?ありだろみのみの〉


器用に短剣でジューシィラビットの内蔵を取り出して、血抜きをして、解体していく

初級火魔法で火を起こし

串を通したジューシィラビットを火にかける。

鼻腔をくすぐる匂いに思わず出そうになる涎を我慢して、こんがりと焼き上がるまで待つ。


「じゃじゃじゃ〜ん。ジュシラビ串〜

美味しそう〜!それではいただきます」


口に含んだ瞬間に蕩けるお肉と舌を刺激する肉汁。

口中に広がるそれらを存分に噛み締めながら、

ひとつ、またひとつとどんどん食べ進めていく。


〈美少女食事シーン助かる〉

〈うわっめっちゃうまそうに食うじゃんみの〉

〈みのみのみのみ〉

〈これが天使の晩餐みの〉

〈ジューシィラビット食いたくなってきた〉


「ごちそうさまでした〜。美味しかった〜。

それでは探索の続き行ってみよ〜」


お腹も膨れた事で探索の意欲ももっと増してきた。

そろそろこの空間の終わりも見えてきた。


空間への入り口と神殿ははるか遠くに見える。


しばらく進むとこのひらけた空間の壁際に着いた。

そこには下に降りる階段があった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る