2 ダンジョンクェイク

「いったた…」


意識が覚醒すると同時に側頭部に感じた痛みに思わず顔を顰める。

轟音と共に意識を手放したみのりは起き上がると同時に自分の置かれている状況に歓喜した。


「ハハハ。まって、もしかして今のってダンジョンクェイク?」


みのり達が郊外学習に来ている帝都ダンジョンは50層までの中規模で、帝都が保有する事もありダンジョン内はエレベーターや警備団や休憩所など施設や警備体制も充実していて比較的安全に楽しめるというのが売りであった。


発見されてから30年ダンジョンクェイクは起こっておらず、専門家の研究によれば向こう70年は起こらないだろうというのが偉い学者さん達の見解であった。


ダンジョンクェイクの原理は完全に解明されてはいない。


例として過去に30層ダンジョンが70層ダンジョンに変化した事があった。

コアになんらかの干渉があり大きくダンジョン自体が変化してしまうらしい。


「ダンジョンクェイクが起こったって事は新しい階層、通路、宝箱、モンスターとか未知の発見があるって事じゃん。あがる〜!snsにあげたらバズっちゃう。私もインフルエンサーの仲間いりだよ!」


突如降って湧いた非日常にみのりは興奮を隠せずにいた。

snsの定番はほとんどがダンジョンの事であり、ダンジョンの新発見とあればsnsで再生数を稼げる事間違いなしだった。


「よしとりあえずライブ配信しよっかな〜スマホスマホ」


バックの中のスマホを探しスイッチを入れるとたくさんのメッセージ通知が目に入ったが

少しでも時間が惜しいのと新発見への好奇心が勝り真っ先にライブ配信を開始した。


視覚とスマホを魔法で同期すれば見たままの景色を配信する事が出来るサービスだ。

配信者の顔を左端にリアルタイムで魔法の力で表示もできる。

自分の事を美少女だと自覚しているみのりは無論その設定もONにしている。


「みのみのチャンネルへようこそ〜!

帝都ダンジョン探索中にダンジョンクェイクが起こったので調査したいと思います〜」


衝撃によって緊急停止していたエレベーターの開閉ボタンを押すと先ほどよりも重苦しい音を響かせながら鋼鉄のドアはゆっくりと開いた。


静寂と深淵に満ちた世界。

大きな闇が口を開けて広がっている。

地面はゴツゴツと隆起していて奥からは捕食者の呻き声が聞こえる。


通常の階層であればある程度の整備は警備団によりされているはずなので、つまりここは新層。


「きゃああ〜出来立てホヤホヤの新層みたいですね〜私ワクワクすっぞ!」







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