第35話 帰ってきた親とハーレム形成
「お兄ちゃん。じゃあ、私にキスして。そうしたら許してあげる」
「だから、駄目だって。俺には千尋が」
「いいからするの」
瑠璃と俺は今、陸が出て行って二人っきりになっていた。その時に強引に事を進めようとする妹の瑠璃は強情だった。瑠璃は俺より成績面での頭は良く、こんなことはされるのが初めてだった。
そして、今、強引に引っ張られ頬にキスをされた。
「次は唇同士でやるからねお兄ちゃん」
「いい加減にしろ瑠璃」
「そういっても手加減してくれるのはお兄ちゃんの優しいところだよね」
俺は、妹相手には常に優しくあることを心がけていた。それはいじめられていた時もそうで、いつも優しく接していたのだ。今更それを崩せないし、大切に思われているのでつい甘くなってしまうのだった。
「なあ、キスはだめだが。ハグで勘弁してくれないか」
「本当!!ハグしてお兄ちゃん」
俺は妹に抱き着く。こうやって言い合いになっているが、俺の大事な妹だ。あれから一人でいさせるのは正直心配していた。俺は恋人としてではなく、あくまで妹として瑠璃に抱き着いた。
「会いたかったぞ瑠璃」
「私もよ。お兄ちゃん」
抱き着く時間は10分続いた。だが腕を離される気配がない。
「本当に無事でよかった」
「ただいま、友助。あんた恋人をおいて瑠璃なんかとハグしちゃって。そういうことは恋人としなさい」
母が帰ってきた。アルバイトの帰りだろう。この様子だとまだ外にいる千尋と会っているらしい。
「母さんただいま。瑠璃とは会えなかったからこれくらいは勘弁してくれよ」
「はあ、あんたらみたいな兄弟はなかなかいないわよ。あたしなんてお兄さんの大吾さんとハグするなんて御免だわ。そうじゃなくてなんで恋人の千尋ちゃんを外に出しっぱなしなの。家の中に入れてお茶を入れておいたわよ」
「千尋には謝っておくよ。母さんただいま」
「本当に、心配したのよ友助。いきなりあんたがいることを思い出してから、探し回ってもどこにもいないんだもの」
俺もいなくなってから一年は立ってない物のだいぶ経つ。3か月くらいはあの施設にいた。本当に久しぶりの母との対面である。
「瑠璃、下に行くぞ。千尋とお前を会わせる。悪い奴じゃないし。頼むから仲良くしてくれ。ハグしただろ」
「嫌だ」
「瑠璃。いい加減にしなさい。貴方の秘密を陸くんや千尋ちゃんにばらすわよ」
「分かりました行きます」
秘密とは何のことだろうか。まあ、本人が言いたくなさそうなので言わせないが、これで瑠璃も俺の恋人の千尋と会ってくれる。
「行くぞ瑠璃」
「手をつないで行こう」
「分かったよ」
「あんた。瑠璃に甘過ぎよ。そんなんだからこんなことになるのよ」
「それも分かってる。だが俺は妹は大事にしたいんだ」
「はあ、勝手にしなさい。でも後で修羅場になっても知らないわよ」
こうして俺達二人は下の階に下がって。陸と千尋のいる場所へ行った。
「友くん。やっと来てくれた」
「遅えぞ、友助。恋人は待たせるなよ。てかなんで瑠璃と手え繋いでるわけ」
「遅くなってごめん千尋。紹介するよ。彼女が妹の瑠璃だよ」
「手をつないでくるのも全然構わないけど、よろしくね瑠璃ちゃん」
「......よろしく」
千尋が手をつないでも笑顔で挨拶して来て瑠璃は困惑しているようだ。敵意むき出しにはなっていなくて安心した。
「友くん。それでどこまで瑠璃ちゃんと行ったのキスしたりした?」
「さすがにそれはしてないよ。ただ、妹が大事だからハグはした」
「友くん。私は瑠璃ちゃんがもう一人の恋人としているのも構わないよ」
「いいのかよ。本当にそうなのか」
「うん。だって私は体が穢れているし、友くんは私にはもったいないと思うよ」
「そんなこと言うんじゃない。千尋は可愛いし魅力的だ。そんな自分を卑下する言い方はやめるんだ」
「友くんは優しいね。でも妹さんが好きって気持ちにも答えたいんでしょ」
「千尋がいいのならな」
「大丈夫。一番は私でいてくれるのなら私はハーレムやってもいいよ瑠璃ちゃん」
「うう、ハーレム。マジで言ってるの千尋さん」
俺がハーレムを作ったとすると、瑠璃と千尋のハーレムになるが、千尋がそう言っているのならそうしたいと思った。俺は正直どちらも好きだった。
「分かった。瑠璃。お前とも付き合うよ」
「こんな形でお兄ちゃんと恋人になるなんて......でも嬉しいよありがとうお兄ちゃん」
こうして、二人は俺の恋人となる。千尋がいいと言っているのもあるし、俺もできればそうしたいほどには瑠璃が大切だった。
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