第8話 対百裂拳

 俺は今、百裂拳の異能のC組の彼への対策を考えていた。百裂拳を受けるのは、致命傷だけは残らないようにやっているようだが、喚くのは格好悪いのでやらないとして、どうしようかと思い悩んだ。


「せめてあいつの拳が見えればいいけど見えないほどに速いしな」


 百裂拳の対策は、自分の力だけだと押し負ける。ならば、自分が逃げるしかないのか、そう思ったもののそれは負けを認めているような気がして嫌だった。


「あいつには絶対勝つ。それが俺の目標だ」

「何が目標だって」


 それは偶然C組の彼が通りかかったから起こった。


「お前まさか、この俺様に勝とうとしてるんじゃないのか?無能の分際でいい加減にしろ」


 百裂拳が発される。やはり見えないほどに速い。


「このまま倒れろ」

「嫌だお前には一泡吹かせる」


 思いっきり放ったパンチは相手の手を傷つけた。


「ふざけるんじゃねえ。俺が、俺こそが」

「そこまでにしとけたくみ


 別の人が横に入ってきた。


「失礼。友助くん。俺の名前は礼音れおん。うちの巧が失礼したよ」

「君は誰なんだ。どうして俺を助けてくれる?」

「僕はB組でね。新入生が現れたと聞いて会いに行きたいと思ってたところなんだよ」

「俺はそんなに強くないぞ」

「いや、君は強い。それはさっきの百裂拳に立ち向かっていったことからもわかる。これからよろしくね。友助くん」

「よろしく礼音くん」


 俺と礼音はこうして仲良くなった。巧はもう逃げている。これが俺と礼音の友情の始まりだった。



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