屑と呼ばれ続けた俺がゾンビと呼ばれるようになるまで

禿鷹吟

第1話 葛葉友助

 俺は元はデブでチビだった。女の子になんか見向きもされないくらい弱い男だった。


「友助くーん今日も頑張ってるね」

「キャー、友助くんだー」


 それが今や女子にこうまで言われるまでに細マッチョで身長も少しは高いイケメンになっていた。

 俺はもともと屑と呼ばれ続けるくらいチビで、いじめにあっていた。


「おら友助、俺と戦え」

「ええ、やだよ。なんでお前とまた戦わなければならないんだ」

「いいから戦え」

「負けるのが悔しいのは痛いほどわかるけど今のお前じゃ俺には勝てねえよ」

「ちっ」


 あいつ、倉喜助は俺に喧嘩をよく吹っ掛けてくる。いじめっ子だったが、それが俺を成長させるためだったことに気付いたときすごく感謝した奴の一人だ。


「この学校にいじめなんてない。だよな陸」

「ああ、お前に文句を言う奴なんてもういない。中総体、頑張ろうぜ友助」


 俺が今しゃべっていた奴の名は千堂陸。もともとこいつの方が才能があったが、今は筋肉の強さと目の良さで勝てるまでになっていた。こいつは鬼コーチに無理やり入らされた際に励ましてくれた部活の親友だ。

 一週間後は中総体。今までの成果を発揮する時だ。


「じゃあ、今日も俺は残り続けるぜ」

「よくやるな。お前に適う奴なんてもういなさそうなのによ」


 これが最後の練習になるなんてこの時には思ってもみなかった。


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