だから俺は探偵助手の助手をやる
ヴォルフガング
プロローグ
プロローグ
父が、死んだ。
――いいや、殺されたのだ。
自宅のキッチンで、リビングから覗き見ていた俺の目の前で。
父の腹を包丁で刺したソイツは、父をかばうように覆いかぶさりながら罵倒を浴びせる母をも、包丁で刺した。
背中から何度も、めった刺しにするように、何度も、何度も。
キッチンが鮮血に染まり、返り血を浴びたソイツは全身が赤黒く濡れていた。
肩で荒い息をしながら、ソイツはリビングにいる俺の方へゆっくりと近付いて来る。
なぜ、こんな事になったのか?
なぜ、ソイツはこんなにも平気で人を殺せるのか?
しかも、自分の肉親を――
俺の頭は混乱し、正常な判断を失って真っ白になっていた。
そのはずなのに、身体は正直なのか、その場で尻もちをついてじりじりと後ずさっていた。
そんな僅かな抵抗も虚しく、ソイツは俺の目の前と辿り着いた。
血走った瞳、呼吸の為に大きく開かれた口元、そして、その手には父と母を刺した包丁が携えられている。
もうすぐ14歳の誕生日で、新しいスマホを買ってもらえるはずだったのに、こんな所で俺は死ぬのか……?
歯がカチカチと鳴り、足がガクガクと震えて、立ち上がる事も逃げる事も出来ない。
ただ、俺の目だけはソイツを捉えて離さなかった。
ソイツはギリッと歯を食いしばると、順手に持っていた包丁を逆手に持ち替えて、それを高く振り上げた。
そして――
ソイツの手にした包丁が、一気に振り下ろされた。
俺は目の前が真っ暗になり、身体を支え切れなくなってその場に崩れた。
俺の意識は、そのまま深い深い闇の底へと沈んで行った――
〇--------------------【あとがき】--------------------〇
本作は「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」応募作品になります。
ただ、内容と文字数がギリギリコンテストの応募要項を満たしていない可能性があります。
内容の詳細についてはネタバレになりますのでここでは控えますが、「コンテスト応募要項をきちんと満たした作品を読みたい!」という方はここでブラウザバックして頂く事を推奨します。
尚、本作は既に完成しており、このプロローグとエピローグ合わせて全64話分(登場人物紹介除く)を毎日お昼12時と夜9時に2話ずつ公開していきます。
また、本作は筆者の前2作と比べて、ややコメディ要素が弱いです(ややです)。
下ネタもほとんどありません(ほとんどです)。
こんな作品でも良ければ、最後までお付き合い頂けたら嬉しく思います。
★や♥、レビューやコメントなども歓迎致しますので、どうぞよろしくお願いします。
ご縁がありましたらエピローグ後のあとがきでまたお会い致しましょう。
by ヴォルフガング
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます