第1章 暴走少女 プロローグ 2

 こちらの位置がわかっているかのように。この周辺の地理にでも強いのだろうか。追っ手は走っては来ない。私に向かって最短距離で追い詰めてきているのだ。


 そして、とうとう私の体力の限界がきた。


 足が止まってしまった。

 息を吸っても落ち着かない。

 もう、5mほどまでに近づいてきた。


「な・・・なんで、私を・・・追って・・・」


 ゼーハーと息切れを起こす中、相手に向かって問いかける。しかし一心不乱に近づいてきて私の目の前まで立ち止まる。


 暑い。熱い。アツい。


 汗が止まらない。初夏というのに、真夏のように暑い。周囲に陽炎が燃えている。こんな事が起こるだろうか?しかし、原因を考える暇を彼女は与えてはくれない。


 次に突拍子もない事が起こった。


 ふわっと彼女が私に抱き着いてきたのだ。

 えっ?えっ?と頭の中が混乱した。


 その瞬間、残りカスほどしかなく辛うじて両脚で立っていた私の体力が無くなった。まるで


 全身から力が抜けていく。


 私は膝から崩れ落ち、気を失った。

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