第41話『良くも悪くも日常』

 終戦に伴い、魔国が一切のお咎めなしとなったわけではない。

長年争ってきた歴史は、多くの犠牲者を出してきた過去を持つということである。獣王国側として、それを終戦だから全てを水に流しますとはできるはずがないのである。仮にそんなことをすれば、国民の納得を得られずに、暴徒を生み出したり、後々まで個々が恨みを薄まりにくい状態で保持し続ける事による不安定な状態が続けられることになる。

それは些細なことで争いに発展したり、差別に繋がる要因にもなり得るのである。


 つまりは、わかりやすいケジメも大事ということである。


 獣王国と魔国の復興にかかる資材・人員・費用について、7割を魔国が負担し、重要なインフラ等を除いては、獣王国の復興を優先する事が取り決められた。


 また、復興期間は魔国が獣王国に対し関税をかけることが出来なくなる等、数々の取り決めがなされ、魔国には決して少なくない負担が求められることになった。

 また、ラキシア・ペレスの両国からは、ヨアナ国、獣王国と魔国に対して無償・有償の援助が行われ、国家が破綻することなく、民が安心して暮らせる国になるべく支援体制が構築されたのである。


 後には、この五ヶ国による相互支援・協力体制が、まだ国交を持っていない小さな国家や、ボンテの海獣人族などの国家を持たない種族にまで及び、世界の平和に多大な貢献をすることになるのだが、それは未だ見ぬ未来のお話。



 一方、この件で各国のトップたちに存在を知られる事になった理不尽の理は、かつてのゲーム内での存在との違いに戸惑いを……

感じてどうなるような連中ではなかった。

 こうなったらこうなったで、思う存分立場を利用して私利私欲を満たすだけなのだ。


 ヨド母娘は、ゴノラル山脈に構えた面々の拠点のメイドとして迎えられた。ヨドはボンテと楽しそうに過ごしている。

 また、終戦を伝えるべく魔法使いたちを指導していたパルパは、ちゃっかり魔女っ娘を3人、愛弟子にしていた。

 指導している現場では、師弟共に真っ裸で「ビクトリー!」と叫んでいる姿が目撃されているのだが、目撃者であるエミルは、どうしようもない下衆を見る目で、深い溜め息をついて、語ることを拒否した。

 ちなみに、この魔女っ娘三名は後に大賢者として、伝説の三人となるのであった。



 そんな日常に戻った理不尽の面々は、世界各地に別荘を建てようとしていた。

但し、ヨアナ湖の別荘とは大きな違いがあった。

 今回彼らは、理不尽の別荘を建てているのではなく、個人の別荘を建てていたのだ。

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