第11話 俺にはコネしかない。

 



「あの電話、俺だわ」


 ズビシっ!

 手刀が飛んできて俺の脳天にクリーンヒット。

 ってぇな………。


「おめぇかよ!! おかしいなと思ったんだよ、今更俺と喧嘩しようという輩がいるなんてな」


 うわ、キモ。


「お前が単細胞って知っていたから、利用させてもらいました」


「にしても、直接俺に言って来いよ!」


「だからお前さ、単細胞なんだから計画とか話しても無駄だろ? アホだし」


 クソがっ!と阿久津は悪態をついているが、俺の内心はそこそこ晴れやかだった。





 ここは地元のファミレス。

 阿久津の殴り込みから1日が経った放課後。

 コイツと連絡を取り、事の発端から何からまで全部話していた。


「俺がボコった奴ら、今日学校来た?」


「いや、来なかった。というか、昨日の今日で無理だろ。顔とかボコボコに腫れていたしね。口封じは?」


「ションベン漏らしてたから、写真撮って脅した。お前にも手は出さないって言ってたぜ」


「…………さすがだな」


 恐ろしいまでに用意周到。

 こういう狡猾さは一体どこで学んだのか……。

 …………まぁ、利用したとは言え、俺もこいつには感謝をしなきゃならないな。

 アホだけど。


「あの電話も、わざと電話番号でかけてきたんだな。LINE電話じゃなくてさ」


「太一がたまたまお前の電話番号もってたんだよ。使わせてもらった」


「そっか」


 計画とも呼べないお粗末なものだったが、なかなか阿久津も予想通り動いてくれた。

 しかし。

 阿久津を召喚したことは、あくまでも外野を排除したかっただけにすぎない。


 目的はあくまでも

 多分だとは思うが、かなりやり手の女ではあると思う。

 狡猾さで言えば、この阿久津を遥かに凌ぐんじゃないだろうか?


 SNSといった情報。周りの人間関係。クラスの雰囲気。

 使えるものは多分、あの女はなんだって使うし、必要だと思ったらなんでもやる。




 ――――だったら、俺も手段を選んではいられない。



「阿久津」


「あぁ?」




「雅(みやび)を呼ぶ」



「…………お前も自分で動けよな? 雅ってことは女を潰しにかかるのか」



 頷く。


 とはいっても、ターゲットは陽菜ではない。

 次は――――――――。




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