第4話 晒されたLINE part1
「嫌われ者の生活はどうですか?」
「……死にたい」
昼休み、太一と中庭の隅に集まっていた。
飯の菓子パンをほおばりながら、お互いに状況を報告している。
「お前のクラスおっかないよ。変な奴しかいないじゃん」
「やっぱり? 俺も今日学校に来て改めて思った。あいつらは人間のカスだ」
「今日いろいろな奴に話を聞いてみたんだけど、A組の連中。他校とつるんでいるやつとか、なんか援交している噂があるやつとか、………まぁ、関わりたくない奴らだね」
「…………」
牛乳を一気飲みし、紙パックを力任せに握りつぶした。
「しかしさぁ、佐々木、お前あのLINE……」
「っ!! 見たのか!? お前っ!!!!」
「見たも何も……、色々な所で拡散されているぞ?」
ほい、と太一が見せてくれたのはインスタのストーリー。
多分太一がフォローしている人のものだとは思うが、投稿しているのは間違いなく俺のトーク履歴のスクショだった。
『www』と草まで生やされていた。
「………太一」
「はい」
「……人って醜いね」
「……さすがに同情するわ」
しばし、葬式のような空気が流れた。
「なぁ、佐々木」
「……どした?」
「お前のLINE、音読してもいい?」
「逆にいいと俺が言うと思ったのか? と言うか、何で……?」
これ以上俺のハートをトンカチで叩かないでほしい。
もうHPは限りなく0に等しい。
「もう見たくもないんだよ……。正直、自分が何てLINEをしてたかも覚えていないし」
「読んであげようか??」
「いや、だからいいっつーの」
俺は太一のスマホを奪い取り、当面の問題である陽菜とのトーク履歴を見てみた。
***
10月30日
『今日一緒に帰らない??』
「ごめん、今日は委員会があって」
10月31日
『今日は一緒に帰らない?』
「ごめん、今日は予定があって」
11月3日
『今日こそは一緒に帰らない?』
「今日も無理なの」
11月4日
『今日は、大丈夫?』
「しつこい、ストーカーみたい」
『ごめん、そんなつもりは』
「本当に怖いんだけど」
***
多分、晒されたトーク履歴の中の一部分だとは思うけど……。
あれ……、これって俺が悪い?
悪いか……?
まぁ、悪いのか……。
「ひどいもんだね、彼女なのに一緒に帰ることも許されなかったなんて」
「……っ! やっぱりそうだよな!? あぶねぇ、自分の価値観が揺らいでたわ」
「佐々木は全然普通のことをしているよ。それを必要以上に拒絶していたのは塚原陽菜の方だね」
「でも、世間では俺が悪いことになっているぜ……?」
「いつだって矢面に立たされるのは男の方さ」
「そんなもんか…………」
さて。
この問題の根っこはどこにあるのか。
本当に俺が気持ち悪かったのか。
それとも…………。
「……遊ばれてたのかなぁ、俺」
「十中八九そうだろうね」
……やっぱりなぁ。
おかしいと思ったんだよな。
――――塚原陽菜から告白されるなんて。
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