ちくちくと/痛む胸奥が/じくじくと/知らない場所で/あなたが笑う

ちくちくと

痛む胸 奥が

じくじくと

知らない場所トコ

あなたが笑う



________________



「コ、焦げちゃって」

「へ?」

「考え事していたら、ホットケーキが焦げちゃって。本当にごめんなさい。楽しみにしていてって私が言ったのに――」


***


 俺は、雪姫のスゴサをみんなに知って欲しかった。でも――雪姫は、俺のためにスコーンを作ってくれたんだ。そこを俺は蔑ろにしていたんじゃないだろうか。


 それだけじゃない。雪姫にしてあげていないことを、俺は第三者にしてしまったのだ。ほんの些細なこと。小さなことが雪姫には重い。


 俺はみんなにコーヒーを淹れてあげた。雪姫が不安を感じている理由はそこなんじゃないかと、厚かましくも、そんな想像してしまう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る