〜やがて終末へと至るなら〜
純粋無垢に輝く教会の内部。
キラキラと輝きを保つのは主が描かれたステンドグラスから透ける陽光のおかげだろう。
「全く、ヤツは危険だというのに田舎町に放ったのはどこの大馬鹿モノなのだろうか」
教会の中で唸っていたのは一枚の紙切れを眺めているる老人。
「おかげで樹海がダンジョンにされて、さまざまな人間が樹海の中に食われていった……まぁそれを目的にしているのだからな、ヤツにとっては好都合なのだろうが」
その老人はただその紙に書かれた事を睨むだけだった。
「ワシが介入出来ないからと言って好き勝手やるのは少し違う気がするのだが……」
老人は一人の女性を思い浮かべて、目を伏せる。
「まあ、ヤツは自分が面白いという方向に転がすからな。自分の身が滅んだとしても、笑って消えるだろう」
……彼が厄災へと至る時はまだ遠い。
彼はまだ樹海の中で一人、日常という名の幻覚に溺れている。
樹海の外から来た者は日常を脅かす者として排除され、彼の日常の中に取り込まれる。
彼が厄災へと至る時はまだ遠い。
終末の鐘を鳴らす者になるにはまだ遠い。
それでも彼は狂の道を着実に歩んでいる。
吉崎大が
本能が目覚めるにはまだ遠い。
だが、彼女はそれを待っている。
おもちゃを買ってもらった子供の如く、はやる気持ちが抑えられないのだ。
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