第17話色付く
「ここがわしの一番のお気に入りの場所だ」
“良い
聞けば、ここは彼がまだ下界の生活に慣れない頃によく駆け込んだ神社らしく、仙界へ繋がる入口の1つであるという。
本殿へと続く厳かな石畳を、楽しそうに歩く宝。
その後ろを物珍しそうに歩く
その理由を探していた彼が見つけた
それは地面に直接建てられた、縄文時代の家だった。
今ではあまり見かけない茅葺屋根、そして腰を屈んだ人々が行き来するような小さな入口に、
“薄暗いな”と思い、家から空へと視線を移動したその先には、何本もの太い常用広葉樹達が、強い陽射しから守るように緑の葉を広げていた。
“あっ!”と声を上げたと同時に、
その色付いた葉が地面に辿り着く様を見守った彼は
「何だろう……
教えてもらわなくても、分かった気がする」
と、妙に納得した口調でそう呟いた。
きっと彼は、
そしてその1つ1つの説明さえも出来ぬ程、血塗られた光景や心休まる風景を数多く見てきたのであろう。
「赤、茶、黄色……どれも良いな」
「何か言ったか?」
「うーん、
そう言いかけて、チラリと縄文時代の家を見る。
その家はただ見守るかのように、そこに存在するだけの過去の産物に過ぎなかったが、
彼の目配せでその切ない気持ちを察した宝は、複雑な
「懐かしい
と、珍しく消えそうな声で言った。
しかし、宝は胸の内を分かろうとしてくれている
ほんの束の間だが、昔の思い出に浸れたことに感謝した宝は
「
と、さり気なく提案する。
「その話、乗った!」
今度は
お仕舞い☺️
令和3(2021)年10月30日12:20~12:53作成
Mのお題
令和3(2021)年10月30日
「紅葉」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます