第14話遺すなら
「ねぇ、望ちゃん」
「何だ、普賢?」
「もしも、記憶が遺産のようにこの世に遺せるのなら、何を遺してみたいと思う?」
「……何故、そのようなことを訊く?」
「望ちゃんがここから消えたら寂しいから、そんなものがあったらいいなって。
そうしたら、みんな」
「わしは、おぬしの心の中にだけ遺っていれば、それで良いと思うが?」
「そっそれは……どのような意味でとればいいのかな?」
そう言われた普賢は顔を赤らめ、知らぬふりをしている宝を軽く睨みつけた。
お仕舞い
令和3(2021)年10月29日作成
Mのお題
令和3(2021)年10月29日
「記憶遺産」
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