第10話
息を吸って、吐く。
僕は今日透くんに言わないといけないことがある。
"僕がリーダーするよ。"
覚悟を決めたとはいえ朝からそのことで頭がいっぱいだった。けどこれを言わないと変われない。そう思った。
「透、くん。」
あれ、透くんでよかったっけ?
透くんは僕のこと「そらさん」って呼ぶけど、まぁもう言ってしまった分にはしょうがない。
「あ、そらさん、どうしたの?」
「僕がリーダーするよ。」
何回も今日の朝から口ずさんできた言葉。
こんなそっけない言い方でも大丈夫だろうか、そんな不安がよぎるが透くんは嬉しそうに笑った。
「いいの!助かるよ。でもほんとに大丈夫?」
「うん。大丈夫。透さんばっかりに迷惑かけれないし。」
「ほんと!ありがとう!僕もできることは協力するから。」
うまくいった。
今日の朝からずっとドキドキしていた心臓が、ほんの少しだけ治った気がした。
「そらさんがリーダーするの!?」
しょうくんが声をかけてくれた。
「うん。やってみるようと思って…」
「俺も手伝えることは手伝うから。」
「ありがとう。」
あ、なんかこの会話友達みたい。
少し浮ついた心を隠すように僕は思わず目を逸らした。そして、公園に行く準備を始める。いつしか公園に通うことは彼女と出会う前よりも日常となって、楽しみなものになった。
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