第5 一応初対面3
問題はそれだけじゃない。私はこの国の勉強についていける気がしない。
喋ってる言葉は解るから、言語については問題ないし数学も問題ないはず。
1+1=2はどこの世界でも変わらないはずだしね。
けど、歴史はさっぱり解らない。
どうせ断罪なんだし、勉強しなくていいよね。頭に詰め込んだ知識を披露する事なく死ぬのだし、無駄な努力は止めよう!
頑張ればなんとかなるってものじゃないのよ!人生諦めも肝心。
バンッ
「シュナ!!」
のんびりお茶を飲んでいると、黒髪の細身のおじさんが突然部屋に入ってきた。
『どちら様で…?』とは言えないし、この邸でシュナを呼び捨てに出来る40代の男は父親しかいないよね。
「アレックス殿下を怒らせたそうだな。」
「いつもと変わりありませんでしたよ。」
「嘘をつくんじゃない。使用人達が見ていたんだぞ。」
面倒だからとりあえず謝っておこう。
「以後気を付けます。」
こういう輩は相手にしないに限る。
言い返せばその分だけ、時間と体力を浪費するだけだしね。
それから30分ほど怒られて、やっと解放された。
「はぁ…疲れた。」
「今すぐお茶をいれますので、お待ち下さい。」
「ありがとう。」
ネロは良い人ね。
私が死ぬ前に、誰か素敵な人と結婚すればいいのに。好きな人がいるなら全力でサポートするし。
私がこの世界でやりたい事がもう1つ。
誰かの恋を応援したり、楽しくお喋りしたり、殆どの女子が普通にしていた事をしたい。
学校に友達はいたけど、学校以外で一緒に遊ぶ事はなかった。
せめて流行りの本を借りたりして、そこだけでも話が合うように頑張ってたんだよね。
この本を読んだきっかけもそう。
べつに本が読みたかった訳じゃなくて、皆についていけないから必死だった。それだけ。
その日の夕食は部屋で食べることになった。
これは罰らしい…。
ちょっと、感覚がおかしいのかな…。
ネロが給仕を務めてるし、片付けもしなくて良い。お茶にデザートまで出てくる。
これは、罰なの?
物凄く厚待遇だと思うのだけど。
それにしても、シュナって可哀想な子だったのね。アレックスが怒ったってだけで、父親に責められるなんて。
アレックスに自分を好きになってもらいたいって必死になってたのって、家族からも追い詰められてたからなのかも。
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