第17話『暴露』


 お母さんはとお父さんで料理を作っていた。

 ガスコンロの上にプレートをのせ、そこに油をひき、野菜を焼いていく。


「やっきそば~、やっきそば~、やっきそば~」

 ルナが謎の焼きそばの歌を歌う。


 ある程度、野菜が焼けると、麺をいれる。


 俺は水属性魔法で氷を作り、みんなのコップに入れ、水をそそぐ。


 そして、焼きそばができあがる。


「では、みなさん」

 お母さんが声を上げ。

「「「いただきます!」」」


 俺は、一口食べる。うん、おいしい。

 しばらくすると、じいちゃんに手招きされたので、俺はじいちゃんの元に来る。


「じいちゃん、なあに?」

「うむ、じいちゃん、これから重要な話をする」

「ヨシアキ、絵美さん、そろそろ、あの話をしよう」

「わかったよ」

「わかりました」

 お父さんとお母さんが頷く。



「実はな、わしは元魔王なんじゃ」

「え?」

 俺はかたまる。なんだって!?


「そして、ヨシアキは現・魔王じゃ」


「えええええ?」


 な、何を言ってるんだ? じいちゃん?


「お父さん、僕は現・魔王じゃないですよ!? 辞退しましたから!」


「そうじゃったけ?」


「ボケたふりをするのはやめてください」


 お父さんは、はあとため息をもらうす。じいちゃんはコホンと咳し続きを話す。


「絵美さんは、勇者の娘じゃ」


「ええええええええええええ!」


「良い反応じゃな!」


 じいちゃんは嬉しそうに笑う。


「わしは、異世界人なのじゃよ」

「い、異世界人?」


「絵美さんの母も異世界人じゃ」


「そ、そうなんだ……」

 俺は愕然としていた。想像以上に、すごい話に。


「じいちゃんは、異世界の門をとおり、わしの世界と地球をいききしてたんじゃ。もちろん変装して地球に遊びにいってたんじゃよ。その時に、ばあさんと出会い、結婚した。そして、生まれたのがヨシアキじゃ」


「そ、そうなんだ」



「僕は絵美と出会ったのは学校でね、同じ美術部で、漫画やアニメをしているうちに、恋をしてたんだ」


「そうね。ヨシアキって漫画やアニメに詳しかったわ」


 二人は懐かしそうに言った。


「私のお母さんは、異世界人でね。うっかり、異世界の門をとおり地球にきたの。地球で苦労したらしいけど、充実した日々だったと言ってたわ」


「そうなんだ」


 俺がゲーム上で魔王になったのは、もしかして俺が魔王の血筋だから?

 ああ、神崎さんにいろいろ、質問したい。


「じいちゃん。俺にも秘密があるんだ」

「なんじゃい?」

「俺、魔王に選ばれたみたいなんだ」


「「「え?」」」


「実は――」


 俺は、1から説明する。第1ゲームが始まる前に、運営者側である神崎さんから、言われた事。魔王に選ばれて、ダンジョンを作ったり、異世界に行って、セイラと一緒に怪我人に対して、回復させたり。そして、ダークドラゴンを倒したり。


「おったまげたな。そんな事があったんじゃな」

 じいちゃんは子供のようにはしゃぐ。

「すごいわね。ユリオ」

「すごいぞ、ユリオ」

「お兄ちゃん、カッコいい!」

 お父さん達は目を輝かせる。


「うむ、ユリオなら魔王として国を治めてもいいかもしれないのぉ」

「お父さん! ユリオを巻き込まないでください!」


 お父さんはじいちゃんに厳しい目で訴える。


「だったら、ヨシアキが魔王になれば、よかろう?」


「僕は地球での暮らしが好きなんです。魔王なんて、なりたくないです」


 微妙な空気になると、お母さんはすかさず。


「そんな事より、第2ゲーム、参加したいわ」


「そんな事では……そうじゃの、わしも参加するぞ」


「僕もです」


「わ、わたしも!」


「ははは、ルナは無理しなくていいからな」

 お父さんは優しくルナに言う。


 超越神ゲーム上ではじいちゃん、お父さん、俺は魔王。お母さんと妹は勇者というらしい。

 焼きそばを食べ終え、俺は台所に向かった。ガラスのコップに水魔法で作った氷をいれ、アイテムボックスからリンゴジュースを取り出し、そそぐ。


「おいしそう!」


 ルナがぴょんぴょん飛び跳ねる。



 そして、俺は家族にリンゴジュースを渡していく。

「おいしい」

「おいしいな」

「おいしいのじゃ」

「おいしい!」

 お母さんたちは喜ぶ。

 俺はその後、お母さん達に必要なものを聞く。すでに必要なものは買いそろえているみたいだが。あえていうなら、食べ物くらいだろう。


「やっぱり、電気が使えないのは不便だ。発電機を買うよ」

 お父さんは窓(ウインドウ)を開く。


「だったら、俺が買うよ」


「大丈夫、貯金は結構あるから」

 そういって、お父さんは購入する。

 確かに電気が扱えるようになったら、だいぶ楽である。


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