第15話『じいちゃんの家』

 

 7月30日。

 夏ということで、もう、暑い暑い。高い湿度により、もはやサウナ。

 適度に水分をとらないと、脱水症状や熱中症で倒れてしまうだろう。

 

 俺は担任の先生に頼んで、じいちゃんが心配なので、いろいろ言い訳してじいちゃんの家に行くことになった。

 陽介や善司は家族と話し合った結果。もう少し、学校に残るらしい。もしかしたら、第1ゲームであるなら、第2ゲームが始まるかもしれないからだ。

 スマホは残念ながら使えないし、固定電話も使えない状態だ。

 

 俺は転移でじいちゃん家に向かう。

 いや~、転移って楽だよね。

 まあ、俺んちの近所にあるんだよね。

 じいちゃんの家はでかい。まあ、じいちゃんってお金持ちだからね。

 俺はインターフォンをならす。数分後



『どなたじゃ?』

「俺だよ。ユリオだよ」

『俺俺詐欺かの?』

「じいちゃんの冗談は世界一!」

『ユリオじゃな!!』

「そうだよ」

 俺は苦笑する。



 玄関の方から、じいちゃんは小走りであらわれる。

「ユリオ!!」

「じいちゃん!」


 すると、じいちゃんの後から、妹があらわれる。

「お兄ちゃん!」

「ルナ!」


 そして、じいちゃんに抱きしめられ。ルナは俺の背後を抱きしめる。


「心配したぞ!」「心配したよ!」

 じいちゃんもルナもぎゅうぎゅうに抱きしめる。なんというか、愛を感じる。


「ごめん、心配かけて」

 じいちゃんは俺を解き、離れると。


「ユリオなら大丈夫じゃと思ったぞ」

「お兄ちゃん、強いもん。だから、大丈夫なの」


 二人は笑顔を作ろうとするが、涙が出てきたみたいだ。

 俺ももらい泣きしそうになったが、ぐっとこらえ。


「――ほら、家にいれてよ! 暑いからさ!」


「そうじゃの!」「そうだね!」


 そして、俺は玄関に続く、石畳を踏む。

 じいちゃんの家に入る。

 ドアを開けると、お母さんがいた。


「ユリオ!!」

「お母さん!」


 俺はまたもや、抱きしめられた。


「良かった無事で!」

「お母さんも」


 そして、俺は玄関で靴を脱ぐ。


「すまないが、水道は使えないんだ」

「そっか」


 俺は驚かなかった。

 まあ、うちの学校も水道が止まって、プールの水をろ過して使ってるんだよね。

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