ユリオの超越神への道のり☆

ココ異世界

第1章

プロローグ

 

 5月5日。

 

 桜もだいぶ散り、新緑の若葉が見え始める季節。

 

 その日は俺、花川山ユリオ(はなかわやま ゆりお)の誕生日の日である。

 

 高校2年生、17歳となり、友人も何人かでき、高校生活にも慣れてきた。

 

 

 そんな日、両親と妹が、俺の誕生日を祝ってくれた。

 

母からは『乙女の百合愛』という百合系のゲーム。

 父からは母にあわせて『乙女の百合愛』に登場するルルちゃんというフィギュア。

 妹もそれにあわせたかのように『乙女の百合愛』に登場するクルミちゃんをわざわざ描いてくれた。しかも結構、上手だ。母譲りだな。



 なぜ、俺に百合系のものばかり?

 俺はただの女子好きなだけだが?

 それに妹よ、小学生なのにもう百合がなんなのか、知っているのか?

 怖くて聞けないぞ!

 友人からもプレゼントをくれた。

 百合系の漫画『ぷるんと百合っち』。

 もう一人の友人もそれに合わせたかのように『ぷるんと百合っち』の登場キャラで主人公のユメっちの抱き枕を。



 おいおい、どいつもこいつも百合系のプレゼントばかりじゃないか。

 まあ、俺の名前がユリオだからというのもあるらしいが。

 母よ、ユリオという名前はキツイです。

 

 

 まあ、祝ってくれるだけ幸せなので文句もほどほどにだ。

 そして、両親と妹はアメリカに戻るみたいだ。

 父はプログラマー、母はイラストレイターでゲーム会社では、主にキャラクターデザインなどを担当しているらしい。



『KUROCAT&HRAJUKU』というゲーム会社で両親は働いているのだ。

 親日家の創設者が原宿に暮らしていた過去があり、愛猫がクロというこう事で名付けたらしい。

 両親と妹は俺の誕生日を祝うために、わざわざアメリカのロサンゼルスから日本に来日してくれたんだ。

 

 明日にはアメリカに戻る。

 ちょっと寂しいが、まあいい。

 日本で生活するのを決めたのは俺だからだ。



 アニメ漫画好きの俺にとって日本は楽園だからだ。その楽園から出るという選択肢は、今の所ない。それに両親はかなり稼いでいるので、生活費には困らない。



 俺はベッドに横たわり、ふと天井を見上げる。

 天井には女神がこちらを微笑んでいる。

 そう、アニメのポスターだ。

『ゴッドなアイリン』に出てくる、女神アイリンが好きなのだ。

 素晴らしい胸と眩しい笑顔がなんとも俺の心をわしづかみにする。

 

 俺の部屋中には、ところせましとアニメの女性キャラクターのポスターが貼ってある。いわゆるオタク部屋だ。友人に見せたら、ドン引きされたっけな。

 俺が天井にいる女神と見つめあっていると、突然、何かがあらわれた。



『こんにちはプレイヤーさん』

「?」

 

 俺の眼前に文章が表示された。それも音声つきだ。

 なんだ、これは??

 幻覚でも視てるのか?

 それに幻聴も。

 目をこすり、改めて視る。



『幻覚でも幻聴でもありませんよ。百合好きだと疑われている花川山ユリオさん』

「!!」

 なぜ、俺が百合好きだと疑われている事を知っている?

 俺は驚嘆し、しばしかたまっていると。


『ふふ、やっぱり驚きますよね。私は運営者の一人、神崎と申します』

 ふむ、運営者か。


「音声と文章からして受けっぽいな」

『えっ!?』

「何でもない、続けてくれ」

 自分でもおかしい発言だと思う。だが、冗談の一つでも言わないと、頭がおかしくなりそうだ。


『……コホン。おめでとうございます! ユリオ様は魔王に選ばれました!』


 ま、魔王!

 それは俺にとって、大好きモノである。まさか、俺がその魔王に選ばれたというのか?



「……」

『……』



「ふふ、ふははははははははは――ッ!!!」

『えっ、どうしたの!?』

 運営者の神崎はかなり困惑している様子。

「魔王に選ばれるモノもいるということは、勇者に選ばれるモノがいる? 違うか?」

 いかにも魔王っぽい感じで言ってみる。

『察しがいいですね。勇者を選ばれているモノもいます』

「勇者は何人だ? 女性なのか?」

『何人いるかは正確には言えませんが、女性もいます』

「勇者に攻められるのか、悪くない」

『恐れていないのですか?』

「そこまで恐くないぞ。それはともかく、貴様、女性だな?」

『……』

 図星か。


 まあ、音声と文章からの情報からの推測だけどね。なりすましもできると思うけどね。男の勘だ。

 

 そろそろ魔王モードから普通モードに切り替えるか。

「なあ、神崎さん。なぜ俺が魔王に選ばれたんだ?」

『それは、秘密です』

 ちぇっ、秘密かよ。

「ステータスオープン!」

『え?』


 名前 花川山ユリオ。職業 魔王。レベル1。HP23/23 MP32/32


 おお、ステータスが視えるぞ!

 職業が魔王。彼女の言う通りだな。やはり、レベル1から始まるのか。

 

『窓(ウインドウ)の開き方を、知ってましたか』

「まあね。俺、ラノベもよく読むから」

 俺はステータスを視た。


 名前 花川山ユリオ。職業 魔王。レベル1。HP23/23 MP32/32


「てか、他のステータスが視れないのか? 例えば、攻撃力や防御力とか」

『数値化するのが面倒といいますか』

「おいおい、そこはちゃんとしようよ」

『すいません』

 なんとも申し訳そうな感じの音声であった。

「わかった」

 まあ、いいか。俺は改めて聞く。

「やっぱり、俺が魔王ということは、勇者に討伐される筋書きなのか?」

『ユリオ様が勇者より強くなり、勇者を倒せばいいのです』

「倒していいのか?」

『はい』

 

 なら、ダークヒーローになるのも悪くないな。

 なんというか、俺の中二病な心が響くんだよな。

 

 そして、俺はいろいろと画面をいじる。

 ざっと、目を通す。マイページ、キャラ、クエスト、ガチャ、ショップ、ギルド、チャット、そして魔王。

『魔王のページは他のモノには見えません。視えるとしたら運営者か運営関係者です』

「良かった」

 他の人が視られたら、魔王だと正体がバレる所だ。

 

 マイページのフッターボタンをタップ。マイページの画面には自分のステータスやメールボックス、アイテムボックスが表示されていた。

 メールボックスはその名のとおり、友人とメールのやりとりきができるみたいだ。

 アイテムボックスはアイテムを保管庫だろ。今の所、1000個まで入る。

 ギルとういう通貨を払えば拡張できるらしい。

 

 そうやって、フッタータブボタンをタップしていく。


 キャラのフッターボタンをタップ。キャラの画面になる。自分や仲間に武器や防具を装備させたり、強化や進化させたりできるらしい。

 魔王も進化できるのかというと、進化できるらしい。

 ゲットしたペットを育てたり、仲間として連れていけるらしい。


 クエストのフッターボタンをタップ。クエストはダンジョン難易度・初級☆1~5まで表示されていた。

 どうやら、ダンジョンに転移し挑戦ができるみたいだ。

 レベル1なのでクエストは保留にする。

 ちゃんと装備とか整えないと難しいだろう。気になるが我慢。


 ガチャのフッタータブをタップすると、武具ガチャ、装飾ガチャ、ペットガチャ、魔法・スキルガチャの4つがあった。

 初回は無料で1回引けるらしい。

 1回引く、10回引くと表示されていた。


 ショップのフッタータブをタップ。ショップは、武器や装飾、アイテムなど、いろいろ売っていた。

 例えば、武器だったらウッドソードとか。アイテムならポーション(小)とか。

 バザーというのもあり、自分の武具やアイテムを売る事もできるらしい。


 ギルドとチャット、設定はまだ使えないみたいだ。


 気になる、魔王のフッタータブをタップ。

 ダンジョン作成というバーが表示されていた。

 それをタップ。

 洞窟生成や搭生成。増築。階層増加。

 罠仕掛け。内装。外装などいろいろあった。

 モンスター生成というもがあったので、いかにも魔王らしいなと思う。

 魔王は、ダンジョンを作成したり、モンスターを生成したりできるみたいだ。

 もちろん、生成したモンスターも仲間として戦わせる事もできる。


 こりゃ、今日は眠れないな。


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