白銀の魂の剣(ソウルエッジ)
天宮彼方
プロローグ イレイザーとライトニングイレイザー
何故この様な星になったのか、見渡す限り砂の大地。そこに生き物の気配が感じられない。いつからこうなのか誰にも分からない。
しかし、どこまでも続く荒野に不釣り合いな光景が突如としてそこにあった。
大地は整備されたコンクリート。そして地面から生えた超高層ビル群。手入れの行き渡ってるストリートの花々。水もあれば食べ物もある。
〘シティ05〙それがこの街の名だ。
こういった場所が世界中にあり、通信環境も存在する。シティ間で連絡手段もあり、街には人だけではなく、ロボットも当たり前の様に混在する。
こんな煌びやかな街に乾いた音が響き渡り一人の男が血を流し倒れた。ロボット······チルドレンゴゥレムが発砲したのだ。
これはこの街のいつもの光景。この街は血が流れる。
この街の管理を任されている企業〘ヴァルハラエグゼクティブス〙
この企業はこの街を圧政して存在していた。
警察も軍隊も全て手のひらの上だった。チルドレンゴゥレムを街中に解き放ち、社長の命令一つで銃声が響き渡る。
そんなある日、また一人の男が撃たれた。震え上がる人々の前に、ただ冷たい視線を向けるチルドレンゴゥレム。しかし突然、銃を浴び弾痕がいくつも出来、機能停止するチルドレンゴゥレム。
「俺達は《イレイザー》だ!民間人はシェルターへ!」
次々と街中に戦闘車両が行き渡り所々で銃声が響く。
「イレイザー?イレイザーが来てくれたぁ!!」
「周囲のイレイザーは民間人を保護しつつ、ジャミング装置を破壊するんだ!」
「おっと、警察と軍隊のお出ましだぜ!!」
「イレイザー共め!この街にはこの街の秩序があんだ!!しゃしゃり出るんじゃねぇ!!」
「この街はヴァルハラエグゼクティブスも警察も軍隊も、全てイレイズ許可が下りてんだ!」
『通信復旧!街の制圧後、イレイザー各員はヴァルハラエグゼクティブス本社前へ』
様々な人の声と銃声が入り混じり、街はたちまち混乱の只中に落ちた。
それから72時間、街の制圧は完了した。しかし、ヴァルハラエグゼクティブス本社前の防衛網がどうしても突破出来ない!それから48時間未だに本社ビルが落ちずにいる膠着状態が続いていた。ビルの周りをバリケードで覆い、徹底抗戦の構えのヴァルハラエグゼクティブス。
そんな時
「邪魔だ。退け」
とぶっきら棒に言い放ちイレイザーをかき分けて前に出てきた人物がいた。
その人物は茶色いローブに深くフードを被り、フードの両サイドから灰色の髪が流れていた。
「······後は任せろ」
淡々とした口調で言った後にローブの中から手が出てくる。手には筒を持っていた。いや、厳密には違う。細長い何かだ。それを掲げ振り落とすと、クリーム色に光る刃が出た!
「こりゃ······とんでもねぇバケモノが来たぜ······」
前にいたイレイザーが、そう呟いた。
後に〘ヴァルハラエグゼクティブス動乱〙と呼ばれるこの戦い。ライトニングイレイザーが世に認知される戦いとなり、また、この人物······ルナ・ホワイトドールが認知される戦いとなった。
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