うろんな勇者は今日も魔王を倒す旅に出られない。
山田奇え(やまだ きえ)
第1話「異世界転生」
■■回顧■■
大学生の頃、『ADHD』という症名の診断を受けた。
ただの気質だと思っていた自分の偏屈さや不器用さには、医学上の名前が付いていたらしい。
不安な気持ちのまま就職し、紆余曲折。
いいこともそれなりにあったけど、結局、最終的には上手くいかなかった。
――もっと早く気付くべきだった。
『自分ができないこと』に向き合って、問題をどうにかできたこともあった。
『自分ができないこと』に目を瞑って、自分を優秀だと着飾ったこともあった。
他人にできないようなことが僕にはできた。だから、いろんなことを任された。
だけど、他人が当然のようにできることが僕にはできなかった。だから、戦う時はいつも独りだと感じていた。
『ADHD』という病理は、僕を優秀にした分、孤独の味をより強いものにした。
どれだけ頑張っても、結局、最後まで僕は僕に報いることができなかったのだと思う。
僕の生への執着心を食い尽くしたのは、『思い込みの強さ』と『行動力』だった。
あの時、真夜中の部屋を包んでいた不思議な魔力は、僕の自傷行為を微笑んで見守っているようだった。
――急性アルコール中毒。
それが僕の
▲▲~了~▲▲
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