同居人は神様見習いの女の子
@Contract
第1話 狂っているのは世界か僕か
ピンポーン
部屋のチャイムが鳴らされ、面倒に思いながら重たい腰をあげ、床に落ちてる漫画をよけながら玄関に急いだ。
人生は面倒くさいと僕は思う。
たかが高校2年生の戯言ではあるがあそこは社会の縮図ではないか。
頭が良かったり、顔がいいなどのステータスがあれば勝ち組で高校生活が楽しい事は保障される。
僕のように勉強もできず頭も顔も良くない、コミュニケーションが苦手な僕は別に楽しくない。
理不尽だ、人の上に人を作らないなどゆうのは結局成功してる奴のセリフだ。
一番楽しかったのはいのは学生の頃だったという人がいるが、そしたら今後の俺の人生は地獄への片道切符ではないか。
日本国憲法の基本的人権の尊重に、最低限度の高校生活の幸福を入れるべきだ。
僕が国会議員ならこの法案を絶対通す。
そのくせセーブポイントもなければ急に予期せぬイベントが起こるのだ、今日みたいに。
靴を片足だけ入れて、そのままドアを開く。
いつもの配達のお兄さんかと思ったが、そこには黒髪で綺麗な顔立ちをした同い年くらいの女の子が立っていた。
「久しぶり、大きくなったね」
優しい笑みを浮かべる彼女を僕は知らない。
突然の出来事に回らない頭のからなんとか言葉を出す。
「ええっと、人違いじゃないでしょうか」
「やっぱ私の事覚えてないんだ、薄情な人ですね」
この口ぶりだとやはり僕はこの人と会った事があるのかな。
「すみません覚えてくて...いつ頃僕と会ってました?」
「多分小学生くらいの時期じゃなかったかな」
小学生くらいの頃ならそれなりのに覚えてると思うのんだけど全く記憶にない。
「急に雨に降られちゃってさ、早く中に入れてくれないかな?」
中に入ろうとする彼女を阻む。
「分かったぞ、新手の宗教勧誘とかだな!僕は騙されないぞ!」
「そんなけないでしょもう」
「じゃあ僕の名前を言えるか?」
「空下
「近所の犬に追いかけられて泣いてたのも、肝試しだって言って入って行った小道地を怖くなって逃げ帰って来たのなんかも覚えてる」
「そこまでの恥ずかしい記憶は言わなくていいから」
確かに夏休み、母の実家に帰った時そんな事があったけどあの時は一人だと思ったけどなぁ。
小さなバックからスマホを取り出しどこかに電話を掛け始めた。
「てか、誰を呼ぶ気だよ」
更に人を呼ばれるのは流石にまずい。
「もしもし、ご無沙汰してます。 はい、元気にしてます。なんか宗教勧誘とか言い始めて・・・」
「なんなんだよもう、ドッキリか何かか?」
周りを見渡して見るが、友人の姿もカメラも見えない。
「はい」
通話中の画面のままのスマホを差し出される。
「いや怖くて会話できないよ」
「怖いも何もあなたの母ですよ」
画面を見ると確かに母の名前だ。
不審に思いながらもスマホを受け取る。
「もしもし、母さん?」
「なんであんた
「いや覚えてなくて」
「それもそうか、今日からあんた達一緒に住むからあんたはあの押入れに入ってるから布団使いなさい」
「それなんてゲームのタイトル?」
「ゲームの話はしてないバカ息子、その広いマンションと家具が充実してるのはその為よ。疑問に思わなかったの?」
確かにこの広さと家具の充実具合はおかしいとは思った。
改めて考えてみると家具も家もそれなりの値段がしそうな物が多い。
「一人暮らしの喜びと趣味で頭がいっぱいで何も考えてなかった」
「はぁ」
呆れ混じりのため息が聞こえてくる。
「それなら先に説明しといてくれよ」
「説明しなくても普段からそんなゲームばっかりやってるから、あんたなら大丈夫かと思って」
「大丈夫な訳あるか、自分の息子を何だと思ってるんだ!」
「それに説明するにしても出来なかったのよ」
「出来なかった?」
「あまり詳しくは話せないけどあんたは、あの子の家族にも凄く大きい恩があるの」
「なんだよ急にそんな主人公みたいな設定持って来ないでくれよ」
「とにかくこれ以上の話は水葉ちゃんから聞きなさい、私はこれ以上説明出来ないから」
「えー」
展開が早すぎやしないだろうか。
「とにかく無礼の無いようにね、それじゃあね頑張りなさいよ」
そう言うと通話を切られてしまった。
「電話はもう大丈夫ですか?」
「え、ああ」
理解が追いつかず呆然としながらスマホを返す。
「じゃあお邪魔しますね」
その隙にするりと玄関に入ってしまった。
「ちょいちょい!せめて片づけさせて!」
慌てて追いかけるがそんなのどこ吹く風で部屋の戸に手をかける。
「別に多少汚れていようが気になりませんよ、広渡君だって男の子ですしそうゆうのには理解がありますよ?」
「そう言う問題じゃないんだって!」
無慈悲にも扉が開け放たれる。
無造作に落ちている本に服、食べ終わった後捨てられずに残ったお菓子に
一人暮らしだと浮かれ、堂々と飾られた男の子趣味の数々に流石に言葉を失っているようだ。
その場に崩れ落ち僕は泣きながら呟いた。
「もうお嫁にいけない」
「こっちのセリフですよ、じゃあ始めましょうか」
「え?」
「掃除ですよ、流石にこの状態で一緒に暮らすのは嫌です」
「それよりも色々と聞きたい事があるんだけど」
話が駆け足のにも程がある、打ち切り前の漫画じゃないんだから。
「じゃあ片づけながらお話しましょう」
持って来たバックを置いて、服の袖をまくる。
「久しぶりに会う幼馴染の為にオシャレしたかと思えば、掃除する事になるなるなんて、ゴミ袋はどこですか?」
「何気に女の子の言われたいセリフベスト3に今の入った気がする、台所の奥の棚」
「ゴミは私が片付けるので広渡くんはその自分の私物を片づけてくださいね、そっちは私がどうにか出来る物じゃないので」
「分かったよ」
ここまで来ればもうどうにでもなれだ、今更抗った所で無駄だろう。
取り敢えず自分の置かれた状況を知るのが先だ。
物をまとめながら話しかける。
「取り敢えずどうしてこんな状況になっているのか教えてくれないか?」
「分かりました、取り敢えずいえる範囲でお話しますね」
「またそれか、僕はいつになったら全部を知れるんだ」
「時期が来ればお話しますよ、まずは私と出会った所から・・・それも今は出来ないですね。 私と広渡君は昔中のいい友達でした、夏休み中は毎日遊んでましたね。」
懐かしむように楽しそうに言う彼女に罪悪感を覚える。
「だとしたら忘れてて本当ごめん」
「気にしないで下さい、実際それが正解なんです。その記憶を消したんですよ」
「消した?」
「はい、見てはいけない物を見てしまったんです」
急にホラー展開かよ、いままでSF路線だったのにいきなりだな。
母親と会話してないと到底信じてない内容だな、いやまぁそれでも未だに信じ切れてないけど。
「具体的にはまだ言えないって事ですよね?」
「その通りです、ごめんなさい」
申し訳なさそうに苦笑いを浮かべる彼女。
思わずドキッとしてしまい、手元に目を移す。
「でもその時はそうしないといけなかったですよ。そして月日は流れて私は見習いとして研修しにここにしばらく住むことになりました」
「見習い?」
「はい、見習いです」
「なんの?」
「秘密です」
「またかよー」
「実際する事は勉強と人助けだけで、迷惑かける事はないので安心してくださいね」
「それは良かった。人助けで思い出したんだけど昔助けてくれたらしいけどその時の状況とかは?」
「ごめんなさい」
「謝らないでよ、助けてくれたんだ。取り敢えずありがとう」
「どういたしまして」
そう言うと少し考えこむように腕組をして首を捻る。
「どうかした?」
「じゃあこうしましょう、君の仮説が合っていて当たっているところはちゃんと説明します。」
「クイズ形式か、面白いな」
「それに最後この研修が終わるときはあなたの願いを一つ何か叶えるので考えておいて下さいね」
「え、まじで!?」
「まじです、流石に人を生き返らしたり大きく歴史が変わることはできないけど大体は大丈夫です」
「一億円欲しいとかは?」
「うーん、ギリギリ大丈夫ですね」
「凄いな、ホントに大体の事できちゃうじゃん」
高級車買ったり、シャンパン開けたり、旅行したり、ゲーム買ったり…
金の無い生活してきたから、なんかコピペみたいな発想しかできないな。
「昔からのしきたりなんですよ、見習いが終わるときその恩を家主に返すんです」
「それならみんなこぞって見習いを住ませるんだろうけど、そうゆう訳にいかないんだろ?」
「そうですね、色々と条件があって今回はあなたのお家が一番良かったんです」
「そうは言うけど年頃の男女が一つ屋根の下ってのは問題じゃないか?」
そんな事するつもりはないけど、こんな可愛い子と一緒に住むって。
俺の理性が死ぬ。
「なんです、襲ってくれるんですか?」
「襲わないよ!襲うのオッケーみたいな言い方するな!」
「冗談です、広渡くんが結構ヘタレなのは知ってます」
「いやいや、確かにヘタレだけど一応男だしさぁ」
「半分は私のわがままですよ、仲の良かった人と一緒にいれたら楽しいかなって」
少し恥ずかしそうに顔をそらしながら答える。
「まあ、確かにそうだ」
そんな面と向かって言われると流石に照れるな。
「それに、そうゆう事は物理的に私に出来ないんです」
「出来ない?」
部屋のゴミを一通りまとめ終えたようで、慣れた手つきでゴミ袋の口をしばっていく。
「そっちはどれくらいで終わりそうですか?」
「もう少しで終わるよ」
「じゃあ終わったら日用品と今日のご飯の買出しですね」
「ちょっとは休ませてくれ、それに夕立で外は土砂降りだし時間を置こう」
確かに水穂との会話はとても楽しい。
それこそ昔からの友人のように、いや友人だったのだろう。
じゃなきゃこんなにすんなり女性と打ち解けられると思えない、頭のどこかではやっぱり覚えてるんだろう。
「仕方ないですね、ヒントその1です」
リビングの大きな窓まで行くとスッと手を伸ばして呼吸を整えた。
顔には気迫が宿っていて、声をかけるのをためらった。
静かな空間に雨音が響いていたが次第に音は弱待り、辺りは静寂に包まれる。
するとさっきとは打って変わっては瞬く間に雲一つない快晴が広がった。
「ふう、私の正体分かりました?」
笑顔で晴れやかに笑顔でゆう彼女に僕は座ったま、まさかと苦笑いで返した。
「神様?」
「はずれです」
「神様の・・・見習い?」
「ピンポーン、大正解!」
嬉しそうに喜ぶ彼女を呆然と見つめながら僕はポツリと言葉をこぼした。
「人生は以外と面白いかも」
それから彼女が学校に転入生としてクラスに来たのは2週間が経った頃だった。
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