233

だれかの運転で自動車に乗っているとき、丁度雨が降っていた。フロントガラスに小さな点が少しずつ増えていく。それがあたりのライトをてらてらと大きくして、散布されたスプレーのようにも、ミラーボールのようにも思えて、いびつながらも綺麗だと思った。

と、急にライトの解像度が上がってしまった。瞬きひとつの間に水滴が取り除かれ、何が起きたのかと思うと、ワイパーが本当に偶然、瞬きの間にガラスを滑って雨水をさらっていったらしい。そうしてフロントガラス越しのライトは、解像度を高めたり低めたりを結構な頻度で入れ替わるようになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る