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眠れはしないけれど、目を瞑っている方が楽なまどろみの中、よくどうでもいいことを考える。

本当にどうでもいい言葉ばかりを並べていたら、いつの間にか書き留めておきたい言葉ができあがる。

少し瞼を上げる。

暗闇。

スマホはベッドから手を伸ばして少し届かない距離に置いている。

這い出てそのまま文字を打つ。

少し考えようとして手を止めると、暗闇から『何をしているんだ』と訴えかけられるような感覚がした。

視界の黒という黒のどこかしらから、見てはいけないものが忍びこんでくるような。

少し怖くなって、スマホを持ったままベッドへ逃げ込んだ。

ここなら少しは安心だ。

僕の存在を認めてくれる場所だ。

そうして暗闇の中、眩しいスマホ画面を見つめている。

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