第16話 魑魅魍魎

舗装されていない道に、悲しげに柳の木が生えている

橋を渡ったっても、何も変わらず道が続いていくだけ

そんな道をしばらく歩いていると

かすかに、太鼓の音色が聴こえてきたような気がした

何処からともなく立ちこめる霧とともに

霧の中からまるで幻想かのように

何件かの小さな店と何人かの人々が見えてきた

小さな街のようになっている

とは言っても、先程までいた町とはうってかわって

遠目にも不気味とわかる、異様なものだった


僕の住んでいるあたりも、魑魅魍魎渦巻く

とても、まともとは言えない空間だが

まともに見せようと努めている感じは見受けられる

だが、ここは違った


着物をだらしなく着てキセルをふく花魁風の女

足を引きずりながら同じ場所を行き来する軍服を来た男

《がまあぶら》と書かれた旗の下で商いをする老人

真っ白な顔に真っ赤な頬紅をつけ太鼓を叩くチンドン屋


これを"異様"と言わずして何と言えよう

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