オレがダンジョンになったので「推し」や「幼馴染」が体内に引っ越してきました ~探索&気まずなラブラブ体内外同居冒険生活~
めで汰
第1話 視聴者0人、犬配信
オレ、
といっても、別に見た目に変わりはない。
そして、今日もいつもと変わらない引きこもりライフ in 実家。
体の強くないオレは、もともと学校を休みがちだった。
それが、高校に入ってからは、さらに悪化。
ってことで、今は自宅でゆっくり静養中。
学校から送られてくるテキストを解くという日々を送っていた。
まぁ、これで高卒の単位を貰えるってんだから悠々自適なもんだ。
学校としても退学者を出したくないんだろうね。
ってことで、目下オレはさっさと十分程度で今日の分のテキストに目を通し、自分の時間に突入中~。
むふふ~。
デスクトップパソコンにモニター二枚。
そしてスマホと携帯ゲーム機『ウイッチ』。
これが一日のほとんどを自室で過ごすオレの世界の全てだ。
そして、そこには二つの配信画面が映し出されている。
一つはオレの推し、VTuber『
雑談配信。話題は、一週間前に日本中に一斉に現れたダンジョンについて。
古い坑道やマンホールの中、使われてない井戸の中などに急に現れたダンジョン。
その数、何百とも何千とも言われている。
その中にはモンスターがいたり、お宝があったりするらしいんだけど、まだ実態の解明はまったく進んでいない。
恋島ウサは、そんなダンジョンに潜ってみたいらしく、すでに準備は万端に整えてあると言ってカラーバットで宙に
いや、それVTuberの加工でカラーバットにしてるだけで、絶対日本刀とかだろ……。
そして、もうひとつの開いてる配信は──。
「はぁ~……今日も視聴者〇人かぁ……。こんなにダンジョンブームなのに……。やっぱ、これじゃダメなのかなぁ……」
オレの
それが、推しの配信と並んでモニターに映し出されている。
といっても、視聴者は、ず~っと0人。
たまに一人増えても、一瞬で出て行ってしまう。
理由はわかってる。
視聴者が増えない一番の原因は──。
画面がブレブレだから。
そう、柴犬の首輪にスマホのストラップを引っ掛けて配信してるだけだから、もう画面がブレッブレのブレッブレなのだ。
おまけに、配信主が犬なもんだから本能のままに動きまくってて、配信のテーマもくそもない。
う~ん……シバコ自身はいっぱいモンスターとか倒してるっぽいんだけどね……。
オレの足の裏(なぜか足の裏、しかもウオノメからダンジョンに入れる)から出てきた時は、謎の魔石とかジャラジャラ持って帰ってくるし。
よくわからないから、魔石はトイレの水が流れるとこに置いてるけど。
これまでの配信に付いたコメント。
”なにこれ? きも”
”酔う”
”ま~たダンジョンを
これだけ。
一応、ダンジョンが発生してから一週間、毎日配信してるんだけどなぁ……。
ダンジョンを
多分、これと間違われてるんだよな。
動画サイトMouTubeで『ダンジョン』で検索してみると、秒単位で配信が増えていっている。
そのほとんどが、一枚絵を貼っただけで「続きは、このURLをクリック!」とか書いてあるだけの、クリック詐欺配信だ。
日本にだけ突如発生したダンジョンを調べようと、世界中からアクセスが集まってるから、こういう詐欺配信も多発してる。
で、オレの配信は、その大量の詐欺配信に押し流されてるってわけだ。
こっちは本物のダンジョン配信なのになぁ……。
シバコをダンジョンに入らせて、その様子を配信して家にいながら億万長者! を夢見てたんだけど、あまりに
オレの本物配信が見向きもされず、クリック詐欺の偽配信が儲かる。
「それじゃ、また夜に配信するね~! ミニウサキッズのみんな、ばいウサ~!」
いつもの決まりの挨拶を最後に、恋島ウサの配信が終わった。
(う~ん、ふて寝でもするか……)
することもなくなったオレは、ベッドに仰向けになる。
暑い。
夏の昼間は最悪だ。
こんな時間帯は、寝るに限る。
オレは、冷え冷えシーツのベタついた中途半端なサラサラ感を背中で感じながら目を閉じた。
あ、オレの配信は切ったっけ?
切ったよな、多分。
切った気がする。
もうどうでもいいや、どうせ誰も見てない配信だし。
寝てるうちにシバコも勝手に出てくるだろ、いつもみたいに。
最初にオレの体内ダンジョンを発見したのはシバコだった。
妙に足の匂いを嗅いでくるから足の裏を見せると、シバコはウオノメの中に吸い込まれていった。
それから何度かスマホをぶら下げて動画を撮って検証してみた結果、どうやら今話題のダンジョンに入ってるらしいことが判明。
それが一週間前。
今では、オレの体内ダンジョンは、シバコが思いっきり駆け回れるドッグランのようなものになっている。
親には言ってない。
なんか面倒なことになりそうだから。
配信でお金稼いだら言うかも。
まぁ、そのお金も稼げそうにないんだけどね。
はぁ、人生やっぱ、そう簡単にはいかないってか……。
そこで眠りに落ちた。
……。
…………。
………………て。
「……………………ヨル、起きて!」
オレの名前だ。
「んっ…………?」
夕方?
少し陽が下がってる感じ。
声の方を見ると。
「…………は?」
そこには。
シバコと。
見たことのある超有名女性配信者と。
オレのおさななじみ、
「え……? な、なに……これ…………?」
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