第1話
「ソフィア・エバンズ。貴様との婚約を破棄する!おまえが愛しのマリーにした悪行の数々、許せるものではなく、お前のような者を皇太子妃にするわけにはいかぬ。
ここで俺、セドリック・エルメシアはソフィアとの婚約を破棄し、マリーを新たな婚約者とする。」
広間に響いたその声に、周囲は一度ざわめき、
これから何が起きるのかと興味深そうに耳を立てている者、明らかに悪意のある微笑みを浮かべている者、心配そうに見守る者。
多種多様だが皆、水を打ったように静かになった。
そこで、この広場の中でもひときわ目立つ二人から冷たい視線を送られている、一人の令嬢が顔を真っ青にしながら、
「せ、セドリック様それはどういう.... 」
「とぼけるなソフィア!お前がマリーにした悪行の数々、弁明ができると思っているのか!!」
やっとの思いで出した声も、憎しみのこもったセドリック様の声でたち消える。
「わ、わたくし、嫌がらせなどしておりません。何かの間違いですわ。」
「まだしらばっくれるのか。なんと醜い……だが、証拠があるのだ!」
殿下がそう言った瞬間取り巻きの一人がわたくしに向かって紙の束を投げつけ、わたくしの足下に散らばった。よくよく見てみれば名前も聞いたことの無い下位貴族の証言や、有りもしないことを好き放題かいた、明らか証拠といえる物では無かった。
ここまでして、わたくしを蹴落とし、皇太子妃にさせないつもりなの.......!!
「ど、どうして......わたくしはずっとあなた様のために「黙れ!!この悪女が!本来なら、死刑にしたいところを、マリーの慈悲によって国外追放だけですむのだ!!
感謝しろ!」
そう言われ、私は今一度、マリーの方を見つめる。
近くには、セドリック様はもちろんのこと、眼鏡をかけ、プライドが高く計算高い宰相子息のケヴィン・タイラント
寡黙で正義感が強く、未来の騎士団長と目される騎士団長子息レオン・ルーズヴェウルト
そしてわたくしの義弟で銀髪と氷魔法を得意としていることから<氷の貴公子>と称されるカイン・エバンズ
帝国の次世代を担う者達が一人の女にとらわれるなんて、世も末ね.......
「マリーにそのような目を向けるな!!」
そう言ってレオンはわたくしに向かい、手を振り上げた。
結婚前の令嬢に手を挙げるほど腐っていたとは......
わたくしは咄嗟に避けようと動いたが、身体がうまく動かず、
<<バチン!!!!!>>
痛い痛い、今までに経験したことの無いような痛みと共に宙を舞い、
<<ゴキン!!!!!>>
鈍い音と一緒に地面にたたきつけられた。焼きつくような痛みが私を襲う。
うまく息が...出来......ない
今まで国のため、セドリック様のためにとたくさんのことを我慢して!
苦しい皇太子妃修行も頑張ってきたのに!!
友人も作れず、雑に扱われても尽くしてきたのに!!
どうしてわたくしがこんな目に.........!?
もっと、おしゃれしたかったし、楽しい学園生活を送りたかった。
もっと笑いたかった!!!!!!
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!
そうしてわたくしは意識を手放した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます