婚約破棄
「乙姫セリカぅ~! 君とは婚約破棄だぅ~!」
学園で僕は乙姫セリカに言ったぅ~!
噴水広場の前。テレビカメラが来ていた前だったぅ~!
僕は激情にまかせて言いたかったぅ~!
僕には真実の愛があるぅ~! それはお母さんと、ルルナとだけの愛ぅ~!
それにだって許せなかったぅ~! 彼女が僕にやった数々の所業~!
僕は彼女によって追い詰められていたぅ~!
逃亡生活を余儀なくされたぅ~! 30億の借金には理由があったぅ~!
僕は仕方なく借金を負ったう~! 死ぬほど辛い逃亡生活だったぅ~!
乙姫セリカとは仕方なく婚約したぅ~!
取り決めでどうしたって婚約せざるを得なかったぅ~!
王子さまの僕が、王さまに命令されて無理矢理婚約させられたようなものだったぅ~!
僕は仕方なく妥協してただけぅ~!
だから、彼女には冷たくあたっていたぅ~! 乙姫セリカを婚約すれば僕の逃亡生活とはおさらばできると思ったぅ~!
悪役令嬢であるルルナも噴水広場で乙姫セリカを断罪して言ったぅ~!
「賛成よっ。絶対に婚約は破棄されるべきよっ。彼女がやった数々の所業、私はここでテレビの前で発言させてもらうわっ」
Sランク冒険者の寒月サクラも噴水広場でテレビの前で言ったぅ~!
「あたりめえだぜえええええ。アタシが保障してやるぜええええ。アイツは最低な女だぜええええ。伊藤隆起のハーレムにはいらないねぇえええええ」
陰陽師の聖宇月散水(女)さんもテレビの前で言ったぅ~!
「当然ですぅ。愛とは神聖なもので、打算で人を痛めつけ、自己都合で悪口ばかり世界に広めた乙姫セリカにはふさわしくないはずですぅ~」
そして、僕の多くのファンのみんなもテレビカメラの前で証言したぅ~!
「当たり前よ。あの人は隆起くんに水をぶっかけたわっ」「そのとおりよ。私もその現場をみたわ」「あの人、戦闘中の隆起くんを攫っていかがしいことしたのよ」「借金を肩にいかがらしいことをした」「陰でいっぱい悪だくみをした」「私たちを操ろうとした」「最低よ。絶対に断罪されるべきだわ」「断罪よ」
僕たちは多いに盛り上がったぅ~! テレビも多いに盛り上がったぅ~!
学園で断罪を言い渡す僕はヒーローになったぅ~!
「乙姫セリカを芸能界から追放しようっ」「乙姫セリカを辺境山口県に追放だっ」「乙姫セリカをデブな悪役令息のおすもうさんと結婚させてしまえっ」「乙姫セリカをキリスト教の修道院に入れてしまえっ。神罰をくだせ! あいつは本当の悪役令嬢だっ」
テレビの視聴者もお茶の間で大盛り上がりだったぅ~! 完全に乙姫セリカはテレビの敵で、世界の敵だったぅ~! 僕は乙姫セリカを完全にはめてやったぅ~!
乙姫セリカはうるうる泣いてたぅ~! ざまあないぅ~!
僕から婚約破棄されて、乙姫セリカは一人ぼっちになるぅ~!
そうだぅ~!
追放だぅ~! このまま乙姫セリカを追放するぅ~!彼女こそ真の悪役令嬢ぅ~! ルルナは悪役じゃないぅ~! みんな騙されてたぅ~!
僕は完全に乙姫セリカを嵌めてやったと思ったぅ~!
すべては僕の計算通りだと思ったぅ~!
ただ、そこでテレビのカメラの前で、乙姫セリカが右に左にひらひら揺れていたぅ~!
乙姫セリカはテレビのカメラの前で、右に左にひらひら揺れてたぅ~!
なにか僕らすべての人類を乙姫セリカは嘲笑っているように見えたぅ~!
Fカップの美乳がぶるぶる入れていたぅ~!
そして、そこで彼女は言ったぅ~!
テレビの前でひらひらゆれながら言ったぅ~!
「無理ですね。婚約破棄はできませんね。ちゃんとした契約に基づいた婚約だから。私が30億の借金の肩代わりをしているんです。私以外に誰か、伊藤隆起くんの借金を肩代わりしてくる人いますか? いないでしょう。なら、婚約は継続ですね。当然です」「ぷるん♪ぷるるん♪)
みーんなシーンとなったぅ~!
みーんなシーンとなったぅ~!
みーんなシーンとなったぅ~!
テレビでお茶の間もみーんなシーンとなったぅ~!
誰も何も言えなかったぅ~! 乙姫セリカに何も言えなかったぅ~!
彼女を追放なんてできなかったぅ~!
悪役令嬢でアイドルである乙姫セリカを追放なんてできなかったぅ~!
そこで、僕はルルナと逃げたぅ~!
西川学園が好きだったぅ~!
ここにずっといたかったぅ~! ただ、借金があってムリだったぅ~!
大好きな人たちと一緒にいられなかったぅ~!
「ルルナ逃げるぅ~! 僕らだけの世界へぅ~!
「わかったわ。隆起っ。私、悪役令嬢って言われてもかまわないんだからねっ」
Sランク冒険者の冒険者の寒月サクラが追ってきたぅ~!
「おらあああああっ。アタシはお前にわざわざ会いに来たんだっ。このままにげられるわけねえだろうがっ。まてやあああああああっ」
ただ、僕はルルナと二人きりで手を取り合った逃げたぅ~!
ぎゅ
ルルナの手はあったかかったぅ~!
「逃げよう。二人で。隆起。どこまでもっ」
「ルルナっ。この手を離さないぅ~! 君だけぅ~!」
・・・二人きりの世界を離さない・・・。たった二人きりで、永遠だから・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます