11 選択

「あなたには2つの選択肢があります。」


オレの正面に半裸の女性が腰かけている。

見えそうで見えない。気になって質問が頭に入らない。

ここは何もない不思議な空間で、美女と2人きりのようだ。

たまんねぇ。


ところで、ここどこ?


その女性の説明によると、オレはトラックにひかれて死んでしまい、

この場所へと飛ばさたとのこと。

そして、この先の人生について選択させてくれるのだそうだ。

ラッキー。


1つは記憶を浄化し、元の世界で生まれ変わるか。

もう1つは記憶を残したままファンタジー世界へ転生するか。

だそうだ。


オレは悩んだ。

30年間ニートをしてた奴が、今更どう進もうとも結果は変わらない。

なので、第3の選択を唱(とな)える。


「あなたと結婚したいです。」

「はぁ!?」


そりゃ驚くわな。

要するに、ここに居座りたいってこと。

ニート生活はオレの性(しょう)に合っている。

ここならば永遠に楽できそう。


「人と神が結婚など在りえません。」

「そこを何とか。形だけでいいんで。あなたのヒモになりたい。」


根が腐っていると思われようと気にしない。

オレにはプライドもなにもないからな。


「キモイ!」

「うわー」

立っているところに大きな穴が開き、男は直立のまま真下へと突き落とされた。

どうやら第4の選択、地獄行きとのこと。

ーーー 完 ーーー

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