しくじり異世界先生【1話完結、1分程度で読める短編集】

naichal

01 憧れの無双転生

「来たー。オレのターン来たー。」

そう叫ぶ男は、廃墟となった城に立つ1人の青年。彼は異世界転移者である。


転移前、夢の中で女神から次のお告げを受ける。

「そなたの願い叶えましょう。」と。

気付いたら瓦礫に閉じ込められていた。

のたうち回るうち、偶然にも手のひらから放たれた魔法によって脱出に成功できた。

彼はこの状況を整理し確信する。

ここは日本ではない。憧れの異世界だと。


容姿は10代のイケメンへと変わり、魔法が無限に使える能力のようだ。

しかも町1つを破壊できる魔法まで使える。

彼が望んだ理想郷がここにある。

この先を想像すると、女性達にチヤホヤされ、全ての人々から絶賛・頼りにされること間違いなし。

ニヤケ顔が止まらない。


「無双キター!」


金無い、趣味ない、彼女いない。無いない尽くし。

その上、仕事も嫌いと人生詰んでた男の逆転劇である。

『努力すれば報われる』とよく耳にするが、彼の場合『努力なしで報われた』まれな例といえよう。


■ 一週間後

城周辺をくまなく散策するも人が見当たらない。正確には活きた人間が居ないのだ。

至る所で魔物と人間の遺体の山。どうやらここら辺一帯が魔物に襲われたようである。


■ 一カ月後

彼は飛行魔法を身に付けることに成功。

そして各地の町をつぎつぎと発見するも状況は同じ。

どうやら各地で大規模な戦闘が行われたようである。


■ 一年後

彼は世界中のあらゆる町や都市を見つけるものの状況は変わらない。

生きた人間に遭遇できない。


どうやらこの世界は人類が滅んでしまって、生存者は彼1人だけのようだ。

ーーー 完 ーーー

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