鬼哭丸② 八重山奇怪

第1話

　8月26日 - 新型コロナウイルス感染症関連: ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、新型コロナウイルス（COVID-19）の感染者が世界全体で6億人を超える。国別ではアメリカ（約9417万人）、インド（約4440万人）、フランス（約3466万人、ブラジルの感染者数を超えた）と続く。主流株として引き続きオミクロン株のBA.5などが猛威を振るっている。

　八重山諸島に和樹、蜜柑、林檎の3人はやって来た。中心となる石垣島をはじめ、竹富島、小浜島、黒島、新城島（上地島、下地島）、西表島、由布島、鳩間島、有人島では日本最南端の波照間島などの石西礁湖周辺の島々と、これらから西に離れた日本最西端の与那国島の合計12の有人島、及び、多くの無人島からなる島嶼群である。面積では沖縄県全体の約4分の1に相当し、県内では沖縄本島に次いで西表島が2番目、石垣島は3番目の大きさである。主島の石垣島から沖縄本島までの距離は約411キロメートル、台湾までの距離は約277キロメートル。

　行政区分では、沖縄県石垣市、八重山郡竹富町及び与那国町の1市2町からなり、有人島では、石垣島が石垣市、与那国島が与那国町にそれぞれ属し、他の10島はすべて竹富町に属する。豊かな自然に恵まれ国指定の天然記念物が多数ある一方、1771年の八重山地震に伴う明和大津波や風土病のマラリア（1962年に撲滅）で多くの人命が失われるなど、過酷な歴史がある。

　秋川桃子は蜜柑の初恋の人だ。市川には中学の時にやって来た。それまでは八重山諸島にいたが、親の転勤の関係で千葉に来たらしい。

　秋川邸は石垣島にある。

　石垣島は八重山列島の政治・経済・教育・交通などの中心地である。沖縄県の県庁所在地の那覇市からは南西に410km離れている。一方、台湾とは概ね270kmしか離れておらず、地理的には日本の大半の地域よりも台湾に近い。

　桃子の父の秋川安次郎は私立探偵だ。石垣市にある事務所で働いていた。

　ある年の春、緑色の仮面を被った怪人物の噂が世間を賑わせていた。噂が新聞の社会面にまで取り上げられるようになった頃、石垣市での博覧会にその緑仮面が現れ、展示品の大真珠を盗んで逃げるという事件が起きた。それから数日後、波照間島の板部岡（いたべおか）邸に緑仮面から予告状が舞い込んだ。板部岡雲吉氏所蔵の古美術品を盗み出すというのだ。雲吉から連絡を受けた沖縄県警の江永警部ら刑事たちが厳重警備する中、雲吉の娘、乙葉が何者かによって入浴中に殺害されてしまう。と、そこへ名探偵、秋川安次郎が現れる。名探偵、秋川の頭脳ですら解決できなかった。

　秋川邸の応接間にて桃子の話を聞き終えた、和樹は「金田一かコナンに頼んだ方がよかったんじゃないの？」と言った。

　林檎は桃子が怒り出すんじゃないかと、ヒヤヒヤしたが桃子はケラケラ笑った。

　👸桃子　「面白い人ね〜」

　👩林檎　「すみません……コイツ空気読めないんです」

　👨和樹「コイツ！？」

　👸「そうこうしてるウチに父も病気で死んじゃって。蜜柑君、頭良かったから君しかいないと思った」

　👨‍🏫蜜柑「オール4くらい大したことないよ」

　👩「スゴイじゃない、4なんてあまり獲ったことない。カズは？」

　👨「そこそこ……」

　小中高の成績はよくて3。だいたい、1か2だ。

そこに、桃子の兄と姉がやって来た。一平（長男）、真二（次男）、完治（三男）、君枝（長女）。

　一平たちは自己紹介を終えた。

「兄妹がたくさんいていいね？ウチ、一人っ子なんだ……」

　林檎はしんみりしていた。

「兄貴、足が臭いよ？」

　完治に言われて一平は舌打ちした。

「うるせーよ」

「ちゃんと洗えよ、不潔たらしい」

　真二は露骨に嫌そうな顔をした。

「テメェ殺すぞ！」

　一平はかなりイライラしているみたいだ。

「うるさいわね！？　アンタらはいっつも」と、君枝。

「明日は板部岡さんが来るからな？　ちゃんと掃除しておくように」

　一平はみんなに命令して、どこかへ姿を消した。

　秋川家は観光業を生業にしている。社長の安次郎は探偵業を兼任していたが、2代目の一平は観光業だけだ。

「全く、偉そうに……」と、真二。

　蜜柑はブルブル震えている。

「兄貴が悪かったな？　頭に血が上ると手がつけられなくなる」と、真二。

　真二は会計参与、完治が監査らしい。

「桃子は高校卒業後はどうするの？」と、蜜柑。

「魔法を使えるかも知れないって話だから、サラマンダーにでも入ろうかな？」

　サラマンダーは大阪にあるゾンビ専門部隊だ。民間企業だ。

　木偏か草冠は植物系魔法、火偏は火系魔法、氵は水系魔法、雨冠は雷や雪、霧など、土偏は土系魔法を使えるようになる。但し、魔法石がないとダメだ。