49おじさん、空振る
ジサンはリスティアから受け取ったアイテムを確認する。
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■魔具:モンスター・ストーン
【効果】
任意のテイムモンスター1体をランクアップさせる。
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(ランクアップとは、優勢配合と同じような効果と考えればいいのだろうか?)
「やばい人に絡まれてしまったが気を取り直して……」
「はい……マスター」
サラは少しばかり
リスティアは去り際にこんなことを言っていたのだ。
『サラ、GM権の乱用はほどほどにね! 私は管轄外だけどさ』
サラは俺のためにギリギリのことをしていたりするのだろうか……
だとしたら申し訳ない……などと思うジサンであった。
「さて、とりあえず……あれを使ってみようと思う」
「あれ……ですか?」
「最強千だ」
「っ!?」
最強千とは魔王:エスタ討伐報酬であった。
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■魔具:最強千
【効果】
使用者が最上位プレイヤー同等になれる。
ただし、対象となる最上位プレイヤーとして特殊プレイヤーは除外する。
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(特殊プレイヤーとは、例えばサラのようなプレイヤーであろうか……確かに仮に魔神もプレイアブルであるとしたら、とてつもなく強くなってしまうな……)
「少々、怖くもあるがダンジョン攻略する上で自身が強いに越したことはない」
「そ、そうですね……ものは試しです。とりあえず使ってみては?」
最強クラスのプレイヤーである月丸隊と共に戦ったことで自身も決して弱くはないことはわかった。
しかし、この最強千を獲得できたことは最強の男、ユウタ不在によるところが大きいとジサンは感じていた。
「お、おう……ではいくぞ……」
「はい……」
ジサンは少々、緊張しながら宣言する。
「魔具:最強千」
[現在のステータスでは使用できません]
「…………えっ?」
「どうでした?」
「なんかメッセージが出て、使えないんだが……」
(アイテム自体は消えてないな……まさか……)
「またバグか……?」
「うーん、どうでしょう……マスターがすでに……」
「ん?」
「い、いや……何でもないです……!」
マスターが通常プレイヤー最強と気付いて自信を付けてしまったら、もっとたくさんの低俗な女が擦り寄って来るかもしれない! という危機感がサラの中で生じた。
「まぁ、いいか……また今度、考えよう」
「そうしましょう! さぁ、気を取り直してサラとのダンジョンデー……」
「えーと、人も少ないし、あいつを使うか……」
ジサンはディスプレイをタップする。
「がぅぅ」
と、大きめのドラゴンが現れる。
「おう、使役するのは優勢配合以来だな……よろしく頼む、デリケート・ドラゴン」
「がぅ……! …………がっ!?」
デリケート・ドラゴンが尻尾を縮こませ、怯えるような仕草をする。
「ん? どうした? 相変わらず繊細だな」
繊細であるのは間違いないが、デリケート・ドラゴンはジサンの傍らの山羊娘から妙な殺気を感じたのであった。
◇
カスカベ外郭地下ダンジョン92階層では、PやQランクのモンスターが群を成して襲ってくる。下手をしたら魔王よりも危険である。
そのため、流石に強力なデバフが発生する100%テイム武器である”契りの剣TM”を常時、装備する余裕はない。
従って、ジサンはテイム性能はやや劣るが、デバフの少ないテイム武器を使用していた。
しかし、サラがいることにより一人で潜っていたときよりはランクの高いテイム武器を使用できた。
おかげで、時々、ランクOのモンスターがテイムできた。
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アーク・スフィア ランクO
ソフト・オーク ランクO
ムレムレ ランクO
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◇
92階層にアタックを開始して一週間くらい過ぎた頃、追加魔王最後の一体、エデン討伐の報せが届いた。
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◆2042年11月
魔王:エデン
┗討伐パーティ<ああああ>
┗シゲサト クラス:剣聖
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(ソロ討伐か……すごいな……そしてこの適当なパーティ名よ……)
しかし、シゲサトってどこかで聞いたことあるような……
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