第23話 決断の時
憂鬱な月曜日が幕を開けた。
今は2月の中旬、少しずつ暖かくなる日も増え、本格的に春へと切り替わろうとしている準備段階にあった。
少し肌寒い、朝の風が頬にあたる。
前までのように、防寒着を着ても寒いような環境では無くなったが、まだ3枚は着ないといけない温度だ。
「兄ちゃん、マジでその癖やめといた方がいいよ。生徒会入ったなら、身だしなみと生活態度を直さないと、学校の恥になるからね」
「俺にとっては、学校の恥とかどうでもいいし」
「メンタルが強いのだけは認めるけど、それただのバカだよ」
「そーですね」
「人の話をちゃんと聞け!」
今日も元気に卍固めを食らっております、どうも和也です。
痛いです、とてつもなく痛いです。
タクシー感覚で救急車を呼びたい気分です。
あ、やばい。これ以上されたら、朝飯を全部戻しそう。
腕をタップすると、さらに力が強まり、無事死亡。
吐いてしまう前に、半気絶まで持って行けて逆に幸せの可能性がある。
「じゃあ、私行ってくるから」
「「いってらっしゃ〜い」」
玄関から聞こえた声に俺たち二人はすかさず返事をする。
授業開始20分前には学校に着くように、美鶴と同じ時間にでる。
いつも通りの道を通る。
変わらない、何も変わらない。
人間は変化に恐れる生き物らしい。
俺ももしかしたら、無意識に変化を恐れて、今の自分からステップアップができていないような気もした。
こんなことを考えるようになったのも、あの12月に美鶴に出会った時からの話。
色々な意味で、人生変えられたな。
クスッ一人で笑い、空を見上げた。
快晴の空が美しく見えた。
★☆★☆★☆★
「よっす、和也!突然だけど、お前胸かお尻派どっち?」
「テンションが気持ち悪いし、質問も気持ち悪い。後ろにいる女子がドン引きしているのに気づいてる?まぁ、勝だったら気づいてないかもだけど」
「もちろん気づいてるぜ!で、どっち?」
「胸だね」
「オ・レ・も★」
「本当にどうしたの?気持ち悪いんだけど」
勝の突然なる、男の俺でも気持ち悪いと感じてしまう質問に真剣に答えると、同感の意見が返ってきた。
え?これだけ?
話に深みがなさすぎて、俺には少し物足りなさも感じたが、そんなことを考えている俺すら気持ち悪いと思い始めてしまった。
自分までも気持ち悪いと思ってしまったら、末期だ。
「北条くん、スマホ取り上げるわよ」
「へいへい」
「今日はやけに素直ね」
「色々と妹に言われてね」
「妹さんって、あの頭の良い?」
「そうそう」
「流石だわ、この北条くんをしつけられるなんて」
「犬みたいに言うな」
「実際犬みたいなもんじゃない」
「和也はブルドックだな」
「顔見て言っただろ、あと全然似てないし」
豪快に笑う勝、それに対し会長は呆れた表情を示す。
クラスの教卓付近では美鶴が友達と楽しそうに話しているのが見えた。
中学の時もあんな感じだったんだろうな。
「よし、じゃあ授業始めるぞ〜」
一限目は化学。
俺の大嫌いな教科、何を言っているのかさっぱりわからない。
一時期、本当に化学の教師は日本語を話しているのか?と真剣に疑問に思ったぐらい、ちっとも頭に入ってこない。
化学は定期テスト前でも一切勉強しない、赤点上等科目だった。
ぼーっと、前の方に座っている美鶴を眺める。
横顔もやっぱり可愛い。
何故か、いつもとは違う美鶴ちゃんが見えたような気がした。
可愛いのは変わりない、しかしそこにお姫様感と言ったらいいのかは分からないが、そのような特別感のあるようなオーラを放っていたい。
【七海美鶴、応援ファンクラブ会長】の肩書きを有す【
あいつ、、、!わかってやがる、、、!
会長だと言うこともあり、気づくのがやはり一般のファンとは違う。
よく見ているだけあって、やはりこういう面では尊敬してしまう(ただのストーカー)。
オタクには人間観察能力まで備わっているのか(※ストーカーのみ有す)。
この時、何故か森口からグッドのハンドサインが送られてきた。
正直驚いたが、俺もハンドサインで返した。
「(俺、頑張る)」
心の中から森口に受診した言葉は、いつか届くことを願って送った。
ーーー有闇さん、俺決まりましたよ。
「森口に感謝!!!!!!」←家に帰って、めちゃくちゃ叫んだ。
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