第4話 しゅきしゅきだけで3話までもたせたけど、そろそろ人数増やしてみようと思うのよね♪


 「とっ、とりあえずはマネージャーさんにこのサンプルを渡して、まずはテープオーディションの権利を得ないとねっ!」


 ……そうだ。

 まずはテープオーディションに参加させてもらう所からなんだよなぁ。


 事務所は『あの声』が出なくなった今の俺よりも、売り出し中の若手にチャンスを与えるだろうし。


 それよりもまだ俺の事、……期待してくれている奴なんているのかな?


 「で、結局何のオーディション受けようとしてんだ?」


 俺がそう言うのを、待ってましたと言わんばかりに麻里はタブレットを見せた。


 「もちろん今冬、来年春のアニメも色々受けたいんだけど、……今一番注目されてるコレっ!」


 そこには、

 『宝映特撮戦隊ヒーローシリーズ五十周年特別企画』

 

 『戦国戦隊 武将ファイブ』


 来年春に公開予定と、最近エンタメ業界で噂になってるヤツだ!


 「コレね、アニメと特撮がタッグを組んで五十周年を盛り上げようって言う特別記念映画なの! 通常パートはアニメで、変身してからのアクションシーンは特撮って感じみたい」


 そして目を輝かせて、


 「そしてアニメパートの監督はあの『浮間舟渡』監督よ!」


 そう、『浮間舟渡』監督は俺の初の主演作『ちょっと聞いてよ清澄くん』の監督だ。


 俺の『あの声』をとても気に入ってくれていて、アフレコの時も俺が納得いくまで何度も録り直しに付き合い、親身になってアドバイスをしてくれた監督だ。


 作画崩壊の時も他の制作会社や知り合いに声をかけまくって最後まで死力を尽くしていた。

 結局打ち切りになってしまって、一番悔しがっていたのも監督だし、当然ネットでは散々な叩かれようだった。


 そんな中でも俺の心配をしてくれ、『あの声』が出なくなったのは俺の責任だ、と言ってその後もちょくちょく監督の作品に出させてもらっていた。


 「そうだな、……監督なら少しは可能性があるかもな! よしっ、とりあえず明日このデータをマネージャーに送っておくよ!」


 「ありがとう、麻里!」

 俺は感謝を込めてそう言うと、



 「あぁっ、……その、普通の声も……、 しゅっ、しゅきぃっ♡」


 ヘナヘナになりながらも、俺に人差し指をピッと立てて、


 「あっ、あの……、声が、声がよっっ!

 勘違い、しっ、しないでよねっ!」


 真っ赤な顔して否定する麻里は、何故かツンデレになっていた。



 ※※※



 次の日、サンプルボイスをマネージャーに送ったら今夜俺のコンビニに顔を出すと言っていた。


 神谷沙樹かみやさき


 見た目は百七十センチの長身でスタイル抜群! キリリとした目元で整った顔立ちをしているが、仕事中はなるべく地味にして、長い髪をまとめて眼鏡をかけている。


 最初に会った時、モデルかと思ったよ!


 入所した時から常に俺の味方になり、親身になってくれる姉の様な存在だ。


 俺の『あの声』を真っ先に気に入ってくれて、『私が面倒みるからっ!』と言って入所が決まった? らしい。


 そして業界内でも信頼が厚く、顔が広い。


 そんな彼女だから『あの声』が出なくなった俺の事を、とても心配して病院を紹介してくれたり、リラクゼーション施設に連れて行ってくれたりと、色々手を尽くしてくれたんだけど……、


……結局何も変わらず、今は仕事が無くなった俺の他に、最近ゴリ押しで仕事が増えてきた後輩の『西ヶ原翔也』の担当をしている。



 ※※※



 深夜、誰もいない店内にクタクタになりながら神谷沙樹が入ってきた。


 「いらっしゃぁせぇーーっ!」


 俺の声を聞いた途端に沙樹は、ぱぁっと明るい笑顔で、


 「バネ太ぁ〜っ、中々顔出せなくてごめんねぇ〜! 寂しかったでしょ、でしょっ? 私にはわかるのよ! だってここ最近の中で一番元気そうな声だもんっ♡ 『せぇーーっ!』がいつもよりハリがあって、うんうん♪」


 両手で自分を抱きしめ体をくねらせていた。


 彼女も、……麻里と同類だった。


 

 第5話に続くよー



 ※※



 はい、キレイな残念おねーさん登場!


 早くも修羅場の予感っ?


 ……だいたいこーゆーキャラって、引き立て役で終わっちゃうのよね、でもでもこのお話しではどーかしらねっ?


 『こっから面白くなるんだろうな?』

 『武将ファイブ見たいっ!』


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