箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―

第一章3話 集落の中で……

　集落の中にいる天族と魔族達を見て違和感を覚える。

確かに戦いに疲れた者達の楽園とは言ってたど人族以外の人達もいるのは良いのかなぁ……

「あの……人族以外の人達もいるんですね」

「おぅ、ここでは種族関係なく暮らしてるぜ？……まぁ初めて集落に来ると驚くよなぁ人族以外の奴等も住んでんだから、でも大丈夫だぜ？ここでは争いは絶対に起きないからさ」

　ゼンさんはそういうと私に笑いかけてくれる。

彼等からしたら問題無いと思うけど、この世界を作った神々からしたら面白くないんじゃないかな思う。

でも私はこの世界の争いを止める為に来たんだからここをモデルケースにして広げて行くのもありかもしれない。

そうすれば私が幸せになれる日も早くないかも？ってあれ？何か向こうの天族や魔族の人達が私の事指さして何か言ってる気がするんだけどどうしたのかな……

「あ、あのあの……ゼンさん、な、ななんかあの人達私の事指さしてない？」

「大丈夫だから落ち着いて話してくれていいんだぞ？って確かに何か指さしてるな」

　ほらやっぱり！私の事指さしてるっ！子供の頃小学校で習わなかったのかな人に対して指をさしてはいけませんってってここは異世界そんな教育受けてるわけないよね。

って何かこっちに近づいて来た！なんで！？私何も悪い事してないよ？むしろこれからこの世界を救う救世主様で良い事をする方だよ！。

心の中で焦っていると天族と魔族の皆様が私の前に来て両膝をついて跪く。

そして目線を下げて天族は右手を、魔族は左手を私の前に差し出して来た。

何でそんな事をするのか分からなくて困惑してしまう、本当に何なのこの人達……

『お待ちしておりました、我らが神の子シャルネ・ヘイルーン様！！』

　そして一斉に私の名前を呼んで私の顔を見て来た。

何でこの人達私の事知ってるの！？怖いんだけどっ！そんな私の動揺を感じたのか彼等も困惑した顔をしている。

「人族じゃないって握手した時に魔力の波長で感じてはいたから驚きはしないけど……、シャルネってもしかして有名人だったりする？」

「あ、あの……魔力の波長で分かるものなのです、か？」

「そりゃある程度訓練した奴なら分かるぜ？むしろ最初は歪な魔力を隠そうともしなかったから何事かと思ったけどな」

　歪な魔力ってもしかして私って結構ヤバい奴？それに我らが神の子ってもしかして彼等から見たら私って凄い人なのかも？って思うけどどうなんだろう。

「どうやら困惑なされているようなので、天族の私が説明致します。あなた様は我ら天族と彼等魔族の神の間に生まれた愛し子であり我らが救世主であります」

「魔族の俺からも説明します、つい先日二柱の神から我々にこの世界の争いを止める為に娘を送りだしたと神託が下りました」

　天族と魔族の人達の話を聞いて神託ってあの人達なにやってんの？って思うけど、私はこの世界の争いを止める気でいるから別にいっかなぁ……、でもだからってこうやって知らない人達に話しかけられるのは怖いから止めて欲しいなって思う。

「そ、そうなんですね……でも争いを止めるってい、言われてもどうすればいいのかわからないので教えて欲しい、です」

「それなら長である、族長グロウフェレス様にお話しを伺うと宜しいでしょう、この世界での争いに疲れた者達を集めてこの集落を作り上げたお方です」

　グロウフェレスって確か魔神さんに僕って言われてた人だよね。

こんな早くに会う事が出来るだなんて思わなかったなぁ……、取り合えず魔神さんが何かあったらその人を頼れって言ってた気がするし早速行こうかな。

「ね、ねぇゼンさん」

「お？どうした？」

「わ、わた、しそのグロウフェレスさんのとこ行きたい、です」

「その前に塗れた服とかなんとかしないと駄目だろ？」

「あっ……」

　そうだった、今の私は頭から水を被ってびしょ濡れだ。

こんな状態で族長さんの所に行ったら床とかを濡らしてしまうから迷惑をかけてしまうだろう。

この人達良くそんな私を捕まえて声を掛けて来たな……その前にタオルとか持ってきてくれるとか気を使ってくれてもいいんじゃない？って思うけどそういう発想に至らない位に私に会えたことが嬉しかったとか？、ふふんっ！もしそうなら嫌な気はしませんねっ！まるでアイドルになった気分です。

「……で、でもわた、し着替え持ってない」

「それなら姫様が来た時に渡してくれと我らが神から託されたご衣裳がありますので後程ゼンの家に持って行きますっ！」

「そう言う事だからゼンっ！お前の家に連れて行って身体を拭く物を貸してやれっ！着替えは俺達が持ってくるまでお前の服を貸してやれよっ！……ねぇとは思うがくれぐれも変な気を起こすんじゃねぇぞ？」

「元より俺の家でタオルを渡す気だったから大丈夫だって、それに幾らべっぴんさんでも知り合ったばかりの人に手を出すほど飢えちゃいねぇよ」

「……な、仲良くなったら、だすん、ですか？」

　親切な人かもと思っていたけどもしかしたらゼンさんって怖い人なのかもしれない。

飢えて居たら家に連れ込まれて何をされてしまうんだろうかと妄想をしてしまうけど、異性とそんな親密な中になった事が無いから想像が出来ない……でも今回の私はあの二人の子供って事は間違いなく絶世の美少女だ。

もしかしたら色んな素敵な出会いがあるかもしれないね……、よーし楽しみになって来たよ！。

「ださねぇって！……もう早く行くぞっ！」

「あ、は、はい！」

「あんたらは族長にシャルネが着替えたら行くって連絡しておいてくれ！」

「わかった、天族の我らは直ぐに着替えの支度をしよう」

「なら魔族の我らは直ぐにグロウフェレス様の元へ連絡してくる！」

……何か私が来てしまったばかりに彼等を忙しくしてしまった気がして悪い気がするけど、これが私はこの人達からしたら神々の娘……つまりお姫様らしいから気を使わずに堂々と甘えさせて貰おう。

まさか前世で辛い目にあい続けて来た私が周りにこんなに良くして貰える何て思わなかった。

取り合えずまずは体を拭いて着替えてグロウフェレスさんからお話しを聞いてこれから私がどうすればいいのかを聞こう……、私は、私が幸せになる為なら手段を選ばない。