第9話
「んっ………」
カーテンの開く音。ともに閉じた瞼越しに白くなる世界。
私は目を覚ました。
「あ、起きた?」
白衣を着たお姉さん――保健室の先生が私の顔を上から覗き見る。
20代半ばぐらいかな?
すっごい綺麗な人だ。
「え、えと。わっ、私、、、」
「ふふふ。慌てないで大丈夫よ。落ち着いて、ゆっくりでいいわ」
「あ…………あぅ」
どうしてこの先生、覗き込んだままの至近距離で話すんだろ?
先生の顔が綺麗すぎて、ちょっと直視できない。
普通に恥ずかしい。
多分、今の私の顔は真っ赤になってると思う。
「ちょうど私が職員室に行ってる時にね、あなたが来たみたいなの。もしかしたら付き添いで他の子と一緒に来たのかな?私が戻ってきたら、あなたが一人でベッドに寝ている状態だったわ」
あっ……………
そこで気づく。
保健室を見回して、確認してしまう。
笠井さん、いなくなってる。
そりゃそうだよね。
朝のショートホームルームを休んで保健室に連れてきてくれて、授業まで一緒にサボらせる訳にはいかないし。
そこで、私は眠る直前の出来事を思い出す。
「っ!!!」
そういえば、私、笠井さんに色々とその、イケナイことをされてた!!気がする………
なんだか途中から頭がボンヤリしちゃってて、笠井さんの言ってたことも覚えてない。
けど、ま、まさか、ね。
大丈夫だよね?
その、一応、私のはじめては、まだ大丈夫だよね?
私たちは女の子同士だし。
それに、笠井さんだって流石にそこまではしてこないはず。
それが眠ってて無防備な人になら、尚のこと。
まぁ、もし手遅れだとしても。
それは盛った女の子の目の前で寝落ちする私にも非があるんだけれども。
兎も角、保健室の先生には無断でベッドを借りてしまったことを謝罪しないと。
「あ、あの。かっ、勝手にベッド使ってすみませんでした。あ、あと、今何時ですか?」
「いやいや、謝らなくていいわよ。体調が優れない日は誰にだってあるわよ。特に女の子はね♪」
「は、はい。ありがとうございます」
「それで、えっとねー。時間は、、あー、あと少しでチャイムが鳴ったら、二限目が終わるわね」
「えぇ!?に、二限目!??わ、私、そんなに寝てたんですか??」
「うん。ぐっすりだったわよ。疲れてるみたいだったから、起こすのも可哀想でね」
「そ、それは………ご迷惑お掛けしました。あの、もう大丈夫ですので、私は戻ります」
「うん。分かったわ。教室に戻ったら次の授業の先生にこの紙を渡してね」
「はい」
保健室のお姉さんから紙を貰って、私は保健室を出て教室に向かった。
◇ ◇ ◇
???
「さっきの子、とっても可愛らしかったわ♡見た目が私好みで、でも内面はコミュ障とか。私の妄想から具現化された女の子よね。―――どうにか、私のことを好きになるように仕向けられないかしら」
「ん?これは―――――――」
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