真野魚尾（まの・うおお）です。長々と続けて参りました同テーマも今回で〆です。WEB漫画2件とアプリ3件からお届けします。

【コミックぜにょん】

◆『北斗の拳世紀末ドラマ撮影伝』武論尊/原哲夫/倉尾宏

もし当時『北斗の拳』が特撮ドラマとして作られていたら――原作に散見される数々のツッコミどころが、ドラマ制作上のアレコレとして面白おかしく理屈付けられているのに感心。役者やスタッフにも愛着の湧く異色のパロディ作です。

◆『マザーパラサイト』佐藤洋寿

満たされぬ「母」たちを渡り歩くように寄生し続ける「息子」。実に露悪的。気分は良くない、むしろ気持ち悪い。にも拘らず頁を捲らせる力が凄まじい。人の心に潜む善悪を超えた根源的な何かを示そうとしているからかもしれない。

【WEBコミックガンマ】

◆『どるから』石井和義/ハナムラ/龍造寺慶

一時期K-1を観ていた懐かしさで覗いてみたら真っ当に面白い。女子格闘のエンタメ性、程よく入る蘊蓄（うんちく）、飽きさせない脚本の三拍子。清濁併せ呑む館長のお言葉は説得力が違います。キャラが漢っぽい距離感ゆえ百合はあまり感じず。

【ガンガンオンライン／マンガUP!】

◆『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い！』谷川ニコ

ぼっちの日常コメディから青春群像劇へ。初期の陰キャあるある路線も、今のゆる百合路線も好きです。たまに初期のノリが顔出すと安心します。もこっちはやっぱりゲスくないと。推しCPはサチキバ、単体はこみさん。

【comicFUZ】

◆『Lv1魔王とワンルーム勇者』〈完結〉toufu

くたびれた中年勇者と弱体化魔王、再会した仇敵同士の奇妙な同居生活にかつての仲間たちの反応やいかに。愛着持てるキャラ造形、関係性の魅せ方、カタルシスへの盛り上げ方、どれも超一級品。古き良き少年漫画風の作画も好感触です。

【サイコミ】

◆『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』丸山恭右/Zoo

望まぬ強さのせいで不幸を呼び寄せてしまうツヨシ、何不自由なく育ったのに望む強さだけが手に入らない愛之助、惹かれ合うのは運命だったのです。公式でCP誕生を切に願う者。あ、古武術とか中国拳法とかは普通に好きです。

◆『まさかな恋になりました。』〈完結〉邑咲奇

30代♀と20代♂の年の差ラブコメ。どのキャラも一旦ヘイトを溜めてからの掌返しさせる展開が気持ちいいです。ハイセンスなギャグのおかげで毎回読後感も良好。主人公が善良で素直に応援したくなるのも大事なポイントかと。

◆『剣に焦ぐ』浅岡しゅく

少年たちが向き合うそれぞれの剣道のドラマが熱く、濃く。仲間も相手選手も魅力的で応援したくなります（一部除く。いや好きですけど）。でも了一くんのあの過去を見てしまうと最推しにならざるを得ない。無論小宮さんも（泣）！

◇戦場に咲く薔薇

「格闘漫画の男関係（語弊）って割と熱くない……？」と気付いて以来、見る目が少し変わったことをご報告いたします。正直を言うと格ゲーをやっていた頃からその萌芽はあったわけですが（『KOF』の京庵とか）。

本テーマの初回に挙げた『ケンガン』シリーズは日常描写が割とあるので色々助かりますね。逆に『刃牙』シリーズは関係性がバトルの中だけで完結してしまっているのが痛し痒しです（それだけにスピンオフでの供給が有り難いのですが）。

格闘モノの男たちは見るからに頑丈なので多少無茶しても安心感ありますよね。何がとは言いませんが。受が弱々しい体格だったりすると色々心配になっちゃうタイプです。何がとは言いませんが。

最後の最後がこんな調子で本当にすみません。読者としてちゃんと本来の楽しみ方もしておりますので許してください。多面的な楽しみ方ができるのは良い作品の証拠ですよね！　ということでどうかひとつ！

次回のテーマは本の話にするか、ゲームの話にするか、迷い中です。

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