探偵達に繋がるおまけ〜現実における裏切り者の末路
そこは街の外れ…首都圏ではあるが人気の無い山の中…
「クソ…クソが…どいつもこいつも邪魔しやがって…」
爆風か、森を無理矢理進んだのか、ボロボロのゴスロリ服に化粧の落ち、まるで道化の女が山道を進む。
「地下に潜んで…また…返り咲いてやる…何が不知火だ…それにお兄ちゃんも…く、また!?」
彼女の横に虫が飛んでいく…同時に人影が現れる。
彼女は裏切り者、土橋家という名家に生まれ、兄と違い特殊な能力持って生まれた。
故に戦場行く組織に集められ、そこでも裏切り逃げて、元の組織と敵対する集団に属し、そこも逃げて、裏切りと逃走を繰り返して今に至る。
『メイ…もうやめるだよ…ワラシはおごっでねぇ…だからもう逃げるのは…裏切るのはやめるだよ』
「暗転!アンタだって裏切ったじゃないっ!?何で私ばっかり!アンタだって憎いんでしょうが!私のせいで死にかけて!身体中傷だらけだもんねぇ!?」
『身体の傷は思い出、残ってもいつかは認められる。でも心の傷は残すだけじゃだめら…誇りの思える日まで、認められるまで、お天道様に顔向け出来る様に生き続ける…ワラシは大事な人に教えてもらっただ。変われないのは悪い事じゃない…ただ、自分が変わる程の出会いをしなかっただけら…いや、お前の兄は少なくとも味方だった…だから…』
ボロボロのゴスロリ服のメイの前に現れたのは、同じくボロボロのコートに全身に虫を這わせた不思議な女…対峙する2人の態度は片や癇癪を起こし、片や諭す様に、明らかに違っていた。
「う…うああああ!うるさい!煩い!五月蝿い!認めない!私は絶対認めない!兄さんだって裏切った!それに兄さんを変えたアイツ等なんかには死んでも頼らない!」
『自分の事だけ考えるのはやめるだよ…まだ間に合う。止まるだよ…立ち止まって考えて…あの人に相談して考える時間を貰うだよ…あ…』
そしてまた、メイは走り出した。まるで聞きたくないと言わんばかりに。
『暗転、時間切れよ、諦めなさい』
『イグエさん…もうちょっと…もうちょっとだけ…話を…』
『遅いわ、棺が来た。これで終わり。部下に甘い棺だけど…流石に仏の顔もってやつね…』
メイは森を抜けた先…開けた所で足を止めた。
そこには軍隊とも呼べる集団。
先頭に軍服を着た女。
『久しいな!メイ!土橋家の誇る防壁の異能『土壁のメイ』!そして、その二つ名と誇りを持って死を持って償え!』
『ヒィッ!?な、なんで棺さんが!?何で貴女まで…』
『私も丸くなってな、部下には任せておけんのだよ!裏切りとは上官の責任であり、当時の棺の国、その下部組織の敬死天で起きた裏切りとその責任の所在はアマテラスを指揮していた私だ、その責任を取るとは自らの手で処断するという事だ!』
メイは周りを見回した。過去、自分のいた組織のトップであった棺、そしてその周りには過去に自分が蔑み、裏切り、尊敬していた、今となっては圧倒的な実力差のついた縁のある人達がいた。
過去、自分の部隊で圧倒的なカリスマを誇る元リーダーで、白銀の鎧を着た虹色の光を帯びる憧れ、まさに神の様な存在。
幼少期は同じ地元で育ち、同じ人に憧れ、異能はなくとも自分が裏切った部隊のナンバー2となった、9本の尻尾の生えた猫をもした機甲鎧の戦士。
自分の元、上官…生きる為に色んな事を教えてくれた…自分の憧れの人に壊され、それでも教官として残り雷を纏い剥き身の身体で戦車を壊す女。
そして…虫を這わせたフードの女。組織を抜け出す時、初めての戦場で守るべき彼女を置いて逃げた…初めての親友。
『何か言い遺す事はあるか?我が棺の国で育った娘よ!我が子よ!あれば言ってみろ!その死を持って返事とする!』
軍服の女の片目、義眼と思われる眼が赤く光る。
地に固定して使う対戦車用の巨大なスナイパーライフルを片手で持ち、メイの頭に向ける。
『ありません…暗転を残して逃げて…叛徒に入り逆らい…今も大聖堂の走狗となっている事は事実です…皆に…申し訳ないと…ぐ…うぅ…』
『そうか…罪を認めたのなら…せめて我が手で傷無く殺してやる』
軍服の女がスナイパーライフルを地に置き、その義手をメイの頭に置く…
『間違えて…間違えて…間違えて…後悔だらけで…お兄ちゃん…ごめんなさい…』
『伝えておこう、次は間違えるなよ…さらばだ…』
大きな衝撃音と共に、大粒の涙を落としたメイは身体を震わせた後前のめりに倒れた。
倒れ息をしていないメイを担ぎ軍服の女は去っていった。
残った虫を這わせた女と虹色の光を帯びた女。
『イクエさん…何とか…何とかならんかったかなぁ?結局、あの場にいた人は近い内に皆死ぬんろ?ヒデェ話だべさ…例えばあの人達がいれば…』
『まぁ、目茶苦茶にはなるわね。悪い意味で何とかなるかも知れないけど…私は沢山の死と繋がっているけど、メイがそれを望んでいないんじゃないかしら?ネタキュンシュはトレーニングしようとするし、後悔とか…させてもらえないもの、滅茶苦茶にして…あの下痢便トーテムポールが関わると…ほら、あの人…死とか尊厳とか冒涜してるから』
――――――――――――――――――――――
ここは、とある普通の一軒家。
「クッチャン!やべ、風邪ひいたかなぁ…」
「ヒロ、それは大変だ!すぐヒロの部屋に行って温めてやろう!アザラシは体温で風邪を治すと言うぞ!」
「タッちゃん、アザラシは皮をはいで着るのよ?」
「お義母さん!なんと!?お、オレの皮!?剥ける皮があるのはヒロ!イテ!?」
「母親に息子の包茎言うなぁ!」
「本当に2人共馬鹿ねぇ…はぁ…それにしても、翡翠ちゃんは元気かしら?」
伝説と言われる阿修羅、彼女が探偵としてこの悲劇に関わればどうなるのか?
きっとどうにもならないかも知れない…
※探偵が関わるとどうなるのか!?皆さん、お楽しみに!
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