第76話 100万PV御礼SS ルビーとサファイアの日常
※取り急ぎのため書きなぐりで失礼いたします。
せめてもの感謝を込めて。
サファイアが村長屋敷に来て、2年が過ぎた。
「きゃん!」(起きて!)
「んにぃ…」(うーん…)
2人の朝はサファイアがルビーを起こすところから始まる。
かごの中でもそもそと眠そうに動くルビーを優しく見つめるサファイア。
バンはいつものようにもう稽古に出ている。
春。
暖かくなってきたこの季節はバンのベッドにもぐりこむことも少なくなった。
今日はバンの部屋で寝ているが、たまにリビングで寝ることもあるし、夏の暑い日は階段の下で寝ることもある。
この屋敷で一番涼しい場所だ。
(ごはん、なぁに?)
と聞くルビーに、
(わかんない。でもドーラさんのごはんだからおいしいよ)
とサファイアが答え、バンが開けておいてくれたドアをくぐって2人は1階へ降りていく。
いつもは食堂に行って、朝食までの時間じゃれ合って過ごすが、今日はルビーが急に駆けだし、台所へと飛び込んでいった。
(とり!)
と叫んでいる。
(ドーラさんのじゃましちゃだめだよ)
と言ってサファイアが注意するが、
(なま?なまなの?)
と言ってルビーは聞かない。
「あらあら、おはようルビーちゃん。コッコの匂いが気になったのかしら?」
そう言ってドーラさんは微笑み、
「2人には生で出しますよ」
と言った。
「にぃ!」(なま!)
と言ってルビーは興奮し、今すぐ食べたいというような表情でドーラさんを見上げる。
(もう…ちょっとはおちついて)
と言ってサファイアはルビーをなだめ、軽く咥えるて食堂へと向かった。
「にぃ!」
ルビーは少し不満そうにしている。
(ごはんはみんないっしょ!)
サファイアがそう言うと、ルビーは、
(…うん。いっしょ…)
といって、渋々ながらも了承したようだ。
(がまんできてえらいね)
というサファイアに、
(うん!)
と言って、胸を張るルビー。
そんな様子をズン爺さんが目を細めてみている。
やがてみんな揃って朝食が始まった。
いつものようにバンが役場へ向かうと、
(バン、きょうもやくば?)
と言って少し寂しそうにするルビーを、
(おしごとなんだって。帰ってくるまでいっしょに遊ぼう?)
と言ってまたなだめ、
(おんぶ!)
と言うルビーを背中に乗せ、2人はズン爺さんのところへ向かった。
裏庭で薪割りをしているズン爺さんの横で2人は、スパンスパンと薪が割れるのを楽しそうに眺める。
そのうちサファイアは薪を咥えてズン爺さんのところに持っていった。
本人はお手伝いのつもりだったようだが、
「ん?遊んでほしいのか?」
と言って、ズン爺さんはホイッっと薪を投げる。
サファイアがそれを追いかけてまた持ってくるとズン爺さんはサファイアを撫でて、また薪を軽く放り投げた。
そんなことを繰り返しているうちに楽しくなってしまったのか、サファイアは薪を持ってくるたびに目を輝かせて、
(もっと!)
と言ってズン爺さんを見つめる。
「まったく、仕方ねぇなぁ」
と言いながらも、ズン爺さんは笑って薪を放り投げてくれた。
ルビーはまだ割られていない薪で爪とぎをして、
「んにぃ!」
と鳴いている。
どうやらこちらも楽しくなってきたようだ。
そうしているとズン爺さんが、
「ほれほれ、まだ仕事が残ってるからな。そろそろ庭で遊んできな」
と2人に向かってそう言った。
((はーい))
と言って2人は聞き分けよく裏庭に向かうと、井戸のいつもそばにドーラさんが置いてくれている小さな桶から水を飲む。
一息いれると、ルビーが、
(おんぶ…)
と言って眠たそうな顔になった。
(しかたないなぁ)
と言って、ルビーを背中に乗せると、サファイアもその場でうずくまって、一緒に寝る。
やがて、良い匂いがして、バンの足音も聞こえた。
(ルビー、ごはん!)
と言うと、
(ごはん!?)
といってルビーは飛び起き、サファイアの背中から降りると、勝手口の前で、
「にぃ!」
と鳴く。
しばらくすると、ドーラさんが戸を開け、
「もうすぐだから食堂で待っていてね」
と言って中に入れてくれた。
その日、2人に用意された昼食は焼いたイノシシ肉。
「今朝はルビーちゃんの好物だったから、お昼はサファイアちゃんの好物ね」
とドーラさんが言うと、
「きゃん!」(ありがとう)
というサファイアに対して、
「にぃ」(しかたないなぁ)
というルビー。
「はっはっは」
と言ってバンが笑うと、ズン爺さんもドーラさんも笑い、バンが、
「いっぱい食って大きくなれよ」
と言う。
((うん!))
と言うと、2人は夢中で食べた。
午後、裏庭の井戸でドーラさんが野菜を洗っているそばで2人が遊んでいると、
「ルビーちゃん、サファイアちゃん」
と言って、ドーラさんが2人を呼び、
((なぁに?))
と言って2人はドーラさんのそばに行った。
「おやつよ。村長には内緒ね」
と言って、果物をくれる。
2人にはそれが、なんの果物かわからないが、ドーラさんのくれるものに間違いはないと思って食べると、
(あまいね。でもすっぱい)
とサファイアが言い、
(これすき!)
とルビーが言った。
「うふふ。美味しかったかしら?」
とドーラさんが言うのに、2人は、
((うん!))
と答える。
ドーラさんが2人を撫でながら、
「うふふ。晩御飯まで遊んでらっしゃい。あんまり遠くへ行ったらだめよ?」
と言うと、2人は、
((はーい))
と返事をして、菜園の方へ向かっていった。
石をコロコロしたり、木の棒を取り合ったりしてしばし遊ぶ。
途中、木登りで高いところまで登りすぎて降りられなくなったルビーをズン爺さんが助けた。
ズン爺さんは、
「もうちょっと大きくなったら登れるようにならぁな」
と言ってルビーを慰めるが、ルビーは落ち込んでいる。
(ほら、おんぶしてあげるから)
と言って、サファイアが慰めると、
(うん…)
と言って、ルビーはサファイアの背中に登り、いつの間にか寝てしまった。
(しかたないなぁ)
と言って、サファイアはルビーを落とさないように勝手口まで慎重に歩いていく。
「きゃん!」(ただいま!)
と言うと、ドーラさんが戸を開けて、
「あらあら。寝ちゃったのね」
と言い、うふふ、と笑って2人を撫で、
「もうじき村長が帰ってらっしゃるわよ」
と言った。
サファイアはそっとリビングへ向かう。
しばらくすると、勝手口が開く音がした。
(バンがかえってきた!)
サファイアがそう言うと、ルビーも、
(バン!)
と言って起きる。
2人して、ドアの前まで駆けていくと、
「ただいま」
と言ってバンが2人を撫でてくれた。
((おかえり!))
と2人が言う。
バンはそんな2人またを撫でると、
「今日の晩飯はクックらしいぞ?」
と言った。
ルビーが喜ぶ。
サファイアも喜んだ。
クックは味が濃くて噛み応えがあるからサファイアも好きらしい。
((やったね))
と言って2人がはしゃぐ。
「はっはっは」
と笑ってバンが2人に、
「みんな揃ってからな」
と言うと、
(うん!)
とサファイアが言い、
(みんな!)
とルビーが言った。
やがて、晩飯の時間になる。
人間は鴨、もとい、クック鍋を食べた。
2人の前には焼いたクックと生のクックが用意されている。
2人は夢中で食べ、
(やっぱりみんなと食べるのがおいしいね)
とサファイアが言うと、
(うん!いっしょ、おいしい)
とルビーも言った。
食事が終わり、人間はお茶を飲んでいる。
(わたしも!)
(ちょうだい!)
と言って、2人も一緒にお茶を飲み始めた。
(これぽかぽかするね)
とルビーが言う。
(うん。ぽかぽかだね)
と言ってサファイアが笑った。
今度は、
(きょうはどこでねる?)
とサファイアが聞く。
すると、ルビーは、
(バンといっしょ!)
と答える。
サファイアが
(あったかいもんね)
と言うと、
(うん。ぽかぽか)
とルビーが言った。
こうして2人の1日はいつものよう始まって、いつものように終わっていく。
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