怪奇事件捜査File2 ドッペルゲンガーと謎の電話編
揚惇命
ドッペルゲンガーとは?
朝の眩しい日差しを受けて、目を覚ました私の名前は、出雲美和。職業は、警察官。所属部署は、丑の刻市にある加賀美警察署の怪奇事件特別捜査課。首なしライダー事件を解決してから3ヶ月経ち夏の暑さ真っ只中の7月。私はフリーライターの鈴宮楓と丑の刻市の山中にある秘湯宿の
私は行きつけの珈琲屋でマスターお手製の卵サンドとブレンドコーヒーのセットで朝食を楽しんでいた。心霊系を多く載せている輪廻という新聞を読みながら、そして1つのページに目が止まった。
『桜庵で564219という文字が突如浮かび上がった。564219とは、殺しに行くと置き換えることができ、今巷で騒がせている自分と同じ格好をした者が自身を殺しにくるドッペルゲンガーの殺人予告状なのである。筆者は、この調査に乗り出すべく。桜庵に宿を取ることにした。これ以降、この記事が消えることがあれば俺の身に何かあったという事だ。記者、
「へぇ〜ドッペルゲンガーね」
マスターがコーヒーのおかわりを持ってきてくれた。
「美和ちゃん、また輪廻かい」
「あっマスター、おかわりありがとうございます。えぇ、今度はドッペルゲンガーらしいです」
「自分とそっくりの人間を見たら死ぬってやつだったかな?」
「はい。ですが巷で噂になってる都市伝説は少し違っていて、564219という文字が浮かび上がったらその人はドッペルゲンガーに殺される。でも桜庵って温泉宿なんですよね。そこで浮かび上がったってことは誰に対してなのか?非常に謎だと思いません?」
「美和ちゃん、そんなキラキラした目で言わないでよ。おじさんは、そういうの信じてないんだからさ」
「だって、こんなこと言いたくないですけど暇してて、座って、電話が鳴るのをじっと待ってたり、輪廻に書いてあった細かい心霊の調査をしてみたり、どれも信頼とは呼べないものでしたけど。でもこれはなんか匂うんですよ」
「ハハハ。まぁミイラ取りがミイラになったって言葉もあるからさ。美和ちゃんがドッペルゲンガーに殺されたりしないように気をつけてよ。美和ちゃんが来なくなったらおじさん寂しいんだから」
「マスター、私もマスターに会えないの寂しいです」
「美和ちゃん」
「マスター」
「良し、このおかわりはおじさんのサービスだ」
「流石、マスター大好き」
美和の可愛いドッキュンポーズにやられるマスター。
「うっやられたぜ」
代金を払い加賀美警察署に向かい。一課の佐々木課長に出張申請を提出した。
「待ってよ。美和くん。こんな記事だけで1週間の出張なんて認められるわけないでしょ」
「そうだぜ出雲。お前のんびり温泉でしっぽりって奴だろ」
「不動、アンタはいい加減私に対して敬いなさいよ。私の方が階級上なのよ。警察組織は階級社会。わかってんの」
「はいはい、同期でお前のことよく知ってる俺がお前を敬うなんてねぇわ」
そう言った不動は、佐々木一課長に耳打ちしていた。
「ホント、ホントにマッチングしてくれるの?」
「えぇ、ですからこの出張申請、課長権限でなんとかしてくださいよ」
「うーん、アヤミちゃんとアフターマッチングかぁ。うーん」
不動は口では何だかんだと言うが根は優しい。でも、キャバクラの女の子とのアフターの斡旋で釣れるわけないじゃない。アンタやっぱり馬鹿でしょという言葉は飲み込んだ。
「良し、美和くん、1週間で良いんだね」
「えぇ」
えっマジでそんなにキャバ嬢とのアフターが大事なのかこのハゲはという言葉は飲み込んだ。
「じゃあ、これで良いかな」
「はい」
返された出張申請の書類にはしっかり課長の判子が押されていた。後は警察署長か副社長の判子を貰えれば晴れて出張申請が通る。なんでこんな回りくどいことをしているのか。一応、私も怪奇事件特別捜査課の課長なので私の判子というわけにはいかないのだ。だって怪奇事件特別捜査の刑事は私だけ。なのでこういった出張申請に関しては一課の課長を通して、警察署長か副署長の判子を貰わなくてはならないのだ。私は、
「やぁ美和くん。聞いたよ首なしライダー事件、大変だったそうだね。それで今度は、何々ドッペルゲンガー、まぁなんでも良いんだけどさ。副総監肝入りの君と僕は同じ派閥になるわけだから。はいはい判子だったね。ほい」
「ありがとうございます」
「はいはい、じゃあ頑張ってください」
「失礼します」
こうして、出張申請の通った私は桜庵にやってきたところで話しかけられた。
「あれっ美和?」
「楓、どうしてここに?」
「宇宙とね。デートで桜庵に来たの。エヘヘ」
楓はそう言うと山南さんの腕を取り恋人繋ぎを見せつけてきた。リア充め爆発しろとは思わない。この2人には辛いこともあった幸せになってほしいと思う。
「馬鹿、やめろって恥ずかしいじゃねぇか。刑事さんも久しぶりだな」
「山南さん、お久しぶりですね。お元気そうで何よりです」
「あぁ、大和の件では、その世話になった。何か手伝えることがあったら言ってくれ」
「えぇ」
私たちは、こうして桜庵の中へと入っていくのだった。
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