古語

ひさかたの雨の降る日をただ二人 猫とながめは見れど飽かぬかも


・「ひさかたの」

枕詞。「雨」「空」などが導かれる。


・「降る」

自動詞。ラ行四段活用の「降る」の連体形。

雨や雪が降るという意味。


・「を」

格助詞。ここでの意味は「(持続する時間)……を」。


・「ただ」

副詞。ここでは、対象をそれだけに限定する意。


・「と」

格助詞。

ここでは、「(動作を一緒にする相手)……と、」あるいは並列の意。


・「ながめ」

名詞。掛詞。「眺め」及び「長雨」。

前者は「物思い」「眺め」、後者は「長く降り続く雨」の意。


・「ぬ-かも」

連語。打消の助動詞「ず」の連体形+詠嘆の終助詞「かも」。

「見れど飽かぬかも」で、「何度見ても飽きないものだなあ」という慣用表現。


・本歌取り

有名な和歌を元にして、その上に新しい情緒を加えたり、改変したりして作歌する手法。

この歌は、万葉集・大伴家持の「ひさかたの 雨の降る日を ただ独り 山辺にをいれば いぶせかりけり」(雨の降る日に一人で山にいると、気が沈んでしまう)の本歌取り。


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