パジャン島 七
両手を上げ「錦戸何もするなよ?」戦闘態勢に入りかけていた錦戸に声を掛ける「…分かりました」「で?どっちだ?」…刃が一切震えていない答え方によっては一瞬で落とされる可能性が高いな…しかし刃を見て分かる…あの時見た物程では無いが良い腕をしているのは確かだ
「ここに来てまだ二日目で会ってすら無いしその人物の情報も何もない状態で利用何て考えてる訳無いと思わないか?」「…じゃあ何処から来た?」「シルドルクって所なん」刃が一瞬動いた「だが!!俺は…俺はあの国から追放されたんだ!!」その言葉に再び刃が止まる
「追放された?だと?」向けられていた刃が降ろされる「その話もう少し詳しく聞かせろ」「あぁ分かった」その後工房に案内させられそこでこれまでの話をした嘘を混ぜながらまるで悲劇を受けてここに来たかのように
「そうだったのかお前も大変だったんだな…なのに…いきなりあんな真似をしてすまなかった」「いえ、大丈夫です」っと綾瀬が言ったが……いや、それは俺が言うセリフだろ?
「今度は僕から聞いて良いですか?」「一体何があったんですか?」「今から二年程前まだここまで発展していなかった時あの子…
―「ここって鍛冶屋で合ってますか?」見たことも無い服を着てるなこの子「あぁ合ってるよ」若い客が来るのは珍しいそれに…見たこと無い顔だ
「突然こんな事を聞くのも何だが一体何処から来たんだ?」「何て言えば良いんですかね?日本って言う島国からなんですけどここには来たって言うか飛ばされたって感じですかね」
正直この子が言っている事が私には半信半疑だったので一つ確認のため「さっき飛ばされたって言ったなじゃあ通行手形って持ってるか?」「通行手形?」首を傾げそう言った「門番に聞かれなかった?」
あの泰樹が見過ごす事は無いと思うが…しかし次の言葉に再び驚かされた「門番?そもそも門って何処にあるんですか?」辺りを見渡す青年「その様子だと本当に飛ばされて来たのか?」
「信じて貰うのは難しいかも知れませんが本当です」「それで?ここには何しに来たんだ?」「それがですね…何も持たずに飛ばされたものでその…」青年が申し訳なさそうな顔をして「お金が無いんです」
「だから…住み込みで働かせて貰えませんか?わがままを言っているのは分かっています」「…」「…いえ…やっぱり何でも無いです…いきなり変な事言ってすみませんでした」
青年が背を向けその場を後にしようとしていた「待て」青年が足を止めた「一つ聞きたいお前…武器は好きか?」背を向けたまま青年は言った「…好きですよ以前居た場所で理解してくれる人はいませんでしたが」
「では僕はこれで」理解されなかったか…そう言えば俺も同じ境遇だった事があったなもう何十年も前の話だから忘れかけてた…あの時は弟子を取ろうとも思ってたが結局取らなかったな
「ならお前…俺の弟子にならないか?」「…良いんですか?」「あぁお前は俺の最初で最後の弟子だ」そうして俺と巧人の日常が始まった…この時は良かった本当に良かったんだ…
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