第5章94話:第2試合の行方
篠山メイが倒れている。
HP1は、あと一撃食らったら死ぬ……というほど危険ではないが。
そこそこ重傷を負った状態なので、放置しておいてはいけない。
救護班のスタッフたちがやってきて、担架で運んでいく。
ルミは拍手喝采を受けていた。
爆発するほどの祝福を受けながら、会場出口へ歩いていく。
しかし。
報道関係者たちが近づいてきて取り囲まれる。
「ルミ選手! おめでとうございます!」
「ルミ選手、一言お願いします!」
「ルミ選手! こちらにも顔を向けてください!」
さすがにテンパってしまった。
ルミは、手短に答え、逃げるように控え室へと向かうのだった。
大会は土・日・祝日の3日間に渡って行われる。
が、初日は32試合もあるため、1回戦のみだ。
ルミは1回戦を勝ち抜いたので、今日はもう試合はない。
このままホテルに戻ってもいいのだが……
少しだけ他選手たちの試合を観戦していくことにした。
ルミの控え室。
この部屋にいるのはルミだけである。
控え室にはモニター画面があり、そこに、ステージの様子が映し出されている。
間もなく第2試合が開始される。
『さあ、篠山メイ選手が敗退するという、とんでもない番狂わせがあった第1試合ですが、続く第2試合。勇戦を期待したいところですね!!』
『第2試合は、カザミ選手と青崎マキ選手の試合です!』
カザミ選手と青崎選手の顔写真が、ステージのスクリーンに映し出される。
カザミvs青崎マキというテロップ。
斧を持つカザミ選手。
ガントレットを身につけた青崎選手。
両者がステージ上でにらみ合う。
審判がピストルを構え。
『では――――はじめっ!!』
ズパァンッ、と天に向かってピストルを撃った。
カザミ選手が斧で斬りかかった。
それを避けて青崎選手が反撃のパンチを繰り出す。
二人が攻防を始める。
実況が解説する。
『おーっと! 開始早々、互いに相手を攻めまくる! 小手調べなんてナシ、いきなりのフルスロットルだぁー!!』
『実力差があまり無く、拮抗しているな。熱戦が期待できそうだ』
新田の解説通り、選手両名の実力はかなり近いようだ。
攻めて、守り、攻めて、守り……
お互いに有効打を食らってはいない。
と、そのとき。
カザミ選手がサッと大きく後ろに退いた。
『おや、ここでカザミ選手が、斬りかかるのをやめて距離を取ったようです。やたら斧を振り回しはじめましたね』
『青崎はガントレットだからな。つまり徒手空拳、リーチがない。カザミのほうはそこを突いて、青崎を追い込むつもりだろう』
……面白い。
ルミは魅入ってしまう。
カザミと青崎の戦いは、だんだんカザミの優勢へと傾いていく。
しかし、青崎もスキルを使い始めたことで、盛り返す。
拳圧を飛ばす、というスキルによって、リーチの不利を埋め始めたのだ。
ふたたび戦いは拮抗。
新田が予言したとおり、熱戦の様相を呈していく。
最終的に勝利したのは青崎選手だった。
(私の次の相手ですね)
ガントレットの青崎。
それが2回戦の相手であると、ルミはしかと認識した。
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